法政大学コンクリート材料研究室

法政大学コンクリートの活動報告

Love LetterとLast Letter

今年の1月に”Last Letter”という映画が公開されました。監督は岩井俊二氏で,私の好きな監督の一人です。岩井監督は,25年前に”Love Letter”という映画を撮っています。岩井監督を一躍有名にした映画といえます。主演は,中山美穂さん,豊川悦司さんです。中山さんは,渡辺博子と藤井樹というWキャストで,最初は渡辺博子(中山美穂)のちょっとした間違い(フィアンセ(藤井樹)を山で亡くして,彼がかつて住んでいた住所(実は同姓同名で同じクラスにいた藤井樹(中山美穂)の住所)に届くはずのない手紙を出します。そして,何故か返事が返ってくるというところから物語が進んでいきます。当時中山美穂さんのファンで,岩井監督の作品であるとか,映画自体が面白いというよりは,中山さんを見たいがために映画を観に行って,この映画自体にはまってしまいました。

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LOVE LETTER(1995年公開)

そして,この映画で中山さん以外に心ときめいたのが,当時ほとんど無名であった酒井美紀さん(藤井樹の中学時代の役)でした。スクリーンに映るその姿を見た時に,何かキラキラしたものが彼女の周りを覆っていました。本当にスクリーンに吸い込まれるように彼女の姿を追っていました。私の最も印象的なシーンは,藤井樹(柏原嵩)が自転車で走っている藤井樹(酒井美紀,ややこしい)に突然セメント袋を頭に被せてしまうシーンです。他にも胸キュンシーン満載なのですが,何故かどうということのないこのシーンが好きなのです。突然袋を被せられて前が見えなくなって,慌てて止まって袋を取る(セメント袋なので,首から上はセメントまみれ)のですが,好きな彼にいたずらされて本気で怒るでもないその表情がとても可愛かったのです。その翌年,“白線流し(1996年1月~3月放映,出演:酒井美紀長瀬智也京野ことみ,馬淵英里伺他)”が放送され,ちょうどダム現場に行っていたときで,その時間だけ(残業時間帯ですが),部屋(事務所と宿舎が同じ建物)に戻って一生懸命観ていました(単身赴任で,ビデオデッキを持っていってなかった。当然購入するには高かったので,毎回,どんなことがあってもリアルタイムで観ました)。酒井美紀さんは,”白線流し”でも“Love Letter”のキラキラ感を持ったままでした。このドラマ,その後日談(高校卒業後の話)が5回も放送されました。私は,酒井美紀さんの初々しさから迸るピュアな姿がきっと眩しかったのかもしれません。

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酒井美紀(LOVE LETTERから)

“Love Letter”から25年後,満を持して”Last Letter”が2020年に1月半ばに公開され,1月の後半に観に行きました。別に,”Love Letter”の続編ではなく,全く違うストーリーなのですが,手紙が繋ぐ不思議な縁は共通するところだと思います。オープニングは林を俯瞰するような光景から,滝のところに徐々にズームされていって,3人の子供の姿が映ります。水辺でふざけ合う3人に連絡が入り,遠野未咲(広瀬すず)の弔いの場に向かうというものです。ちょうど”Love Letter”のオープニングで渡辺博子(中山美穂)が真っ白な雪の上に仰向けに寝ていて,そこからフィアンセの藤井樹の三回忌の場所に向かうシーンとラップします。どちらも長回しの1カットで撮る岩井監督特有のシーンです。3人の子供は,遠野未咲の娘の鮎美(広瀬すず),未咲の妹裕里(松たか子)の娘颯香(森七菜),瑛斗で,帰り際未咲に来ていた同窓会の案内を裕里が受け取り,その同窓会に行くと,同窓生から未咲と間違われ(未咲は,高校時代学校のヒロイン的存在で,頭もよく,生徒会長まで務めていた才女),違うと言えないまま同窓会の会場から立ち去るのですが,裕里が好きだった先輩を一目見たいがためというのもあったのです。会場を出た後,その好きだった先輩乙坂(福山雅治,実は未咲のことが好きで,裕里に恋の仲立ちを頼んでいた)が追いかけてきて,話をするものの裕里が逃げるようにバスに乗ります。その時に渡された名刺に裕里が未咲に扮して手紙を出す(自分の住所は明かさず)。そして,乙坂が未咲の実家に手紙を書き,娘の鮎美が返事を出すことから,物語が進んでいきます。乙坂は,小説家で自分の高校,大学での未咲との関係を書いた“未咲”という本がいろいろな人物と繋がっていきます(この本,本当にあるのならば是非読んでみたいです)。

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LAST LETTER (2020年公開)

この“Last Letter”でも心ときめいたのが,裕里の高校時代を演じた森七菜さんです。颯香ではなく,裕里の高校時代の方です。何か酒井美紀さんの再来(顔というよりは雰囲気)を感じ,”Love Letter”の時のようにスクリーンに吸い込まれていく感じでした。森七菜さんは,すでにドラマや映画等で活躍されていて,”天気の子”のヒロインの声までしている人なのですが,私は全く知らず,岩井監督またすごい人を見つけてきたと思ってしまいました。

この二つの映画ですが,映像の美しさもとても素晴らしく,またストーリー自体,切なく悲しい話なのですが,観終わって何故か心がすごく温かくなるのを感じます。“Last Letter”はまだDVD出ていませんが,出たら絶対購入するつもりです。涙腺崩壊場面も多々あるので,一人でゆっくり観たいと思います。また,”Love Letter”のDVDを引っ張り出して観たくなりました。

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森七菜 (LAST LETTERから)