法政大学コンクリート材料研究室

法政大学コンクリートの活動報告

最近の状況をみて思うこと

先月の今頃は,卒業式が中止になったとか,クルーズ船での感染,欧米で爆発的な拡大などまだ今回の災禍に対して多くの人はあまり危機感を持っていなかったと思います。しかし,今月に入って緊急事態宣言が出されて,東京で100人を超す感染者が毎日のように続き,あっという間に全国で9000人近い感染者となってにわかに危機感を感じている人も多いと思います。

 今日は,この最近の状況からいくつかの映画のことを思い出しましたので,少し書きたいと思います。こんな時だからこそ,皆さんが一つにならないといけないことを思い出させる映画ではないかと思います。

 サバイバルファミリー(2017年公開,監督:矢口史靖,出演:小日向文世深津絵里葵わかな他)は,突然全世界の電気が止まってしまい,食料も水も底をつくような状況で,妻の実家の鹿児島まで自転車(当然電車,飛行機,自動車は動かない)で向かうというストーリーです。前半は電気が止まってもいつもの生活を送ろうとする主人公たち,実際には経済が破綻していっているのもわからないまま仕事に行こうとする父親,人々のエゴや身勝手さでギスギスした生活となっていく場面は,何か今の状況を映し出しているように思えてなりません。一方,決してコメディではないものの,要所で笑いもちゃんと入れているところは矢口監督らしいところです。後半で自給自足の農家での大地の恵みの有り難さ,殺生をしながら自分たちが生きているのだと実感させられる場面や父親が川で流され,SLに乗って鹿児島に行く途中で,死んだと思った父親と再会し,家族の絆が深まる場面等は,どんな状況にあっても,皆で一つになることの大切さを教えられている気がしました。無事鹿児島に着いて,自給自足の生活を送っていると電気がもとに戻り,家族はまた元の生活に戻っていくのですが,ギスギスした関係から,お互いを信頼し合う家族になっているというところで映画は終わっています。

 私などもそうですが,電車に乗っていて咳き込んだりする人を見ると皆が一斉に冷たい視線を送ったり,できるだけ人に接触しないようにしたりする一方,大学の近くの居酒屋の前を通ると客で一杯だったりすると何か釈然としない気持ちになってしまいます。皆さんもそんなときはこの映画を観て何かを感じてもらいたいと思います。

 

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サバイバルファミリー

 最近,ニュースを見るたびに思い起こすのは,多くの人もそうかねしれませんが“シン・ゴジラ(2016年公開,監督:庵野秀明特技監督:樋口政次真嗣,出演:長谷川博己石原さとみ他)”ではないでしょうか。庵野監督は,現在のこの状況を予言していたかのようなストーリーとなっています。前半ではなかなか決断できない政府,相手(ゴジラ)を過信して結局大きな禍となってしまう状況,巨災対が組織され,不眠不休で対処する職員たち,後半ではゴジラのDNAの解読のために世界が協力する様子,ワクチン開発のための官民一体となっての取組などは,私たちが一人一人の行動をちゃんと見直す方向性を示しているように思います。また,ゴジラという未知の生物に対して,皆が団結して取り組めば対処できることを示している映画だと思っています。

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シン・ゴジラ

 

 樋口監督で思い出すのは,“ガメラ3邪神覚醒(1999年公開,監督:金子修介特技監督樋口真嗣,出演;中山忍前田愛藤谷文子他)”です。ギャオスの大量出現やイリスの覚醒は,人類の環境破壊に対する地球自身の自浄能力が働いているというストーリーから,それを食い止めようとしているガメラの話は,昨今の異常気象や頻繁する自然災害,今回の災禍などこれも何か今の世界を暗示しているようです。単なる怪獣映画ではない,ガメラがギャオスを倒すとき,その周囲には罪もない多くの住民が巻き添えを食う形となっている様を描いているのを思い返すと,なんとも言い知れぬ気持ちが涌いてきます。

 

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ガメラ3邪神覚醒

 私たち一人ひとりのこれからの行動がカタストロフィーとしない世界となるかどうか左右しているということを感じないといけないと思います。あるイラストレータの方がつぶやいていた言葉が胸を刺しました。“ナウシカの世界のようにマスクをしないと外の世界にも行けないのか”。私たちは,絶対にそんな世界にしないことをしっかり心に刻んでほしいと思います。

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風の谷のナウシカ