法政大学コンクリート材料研究室

法政大学コンクリートの活動報告

モリナガ・ヨウさんとの出会い

 土木学会誌への新企画として工事現場をイラストで紹介するという内容は,当時の記録を辿っていくと2006年の7月の後半に提出していました。それから,何度か手直しを受けてその年の10月に正式に企画として採用されました。イラストを描いて頂く方は,以前模型雑誌で連載していた“35分の1スケールの迷宮物語”の作者であるモリナガ・ヨウさんに決めていました(まだ交渉もないもしていない段階で,この企画にはモリナガさんしかいないと決めていたのです。かねてからモリナガさんのファンであり,是非とも一度お会いしたいというのと,プラモデルの話が思い存分できる人で,一緒に取材に行っても楽しいだろうと勝手に決めつけていました)。

 ちょうどその頃縮尺鉄筋の開発を行っていて,共同研究先の静岡クリエイトの社長さんのS氏がモリナガさんと懇意であったことから,S氏にお願いして内々にモリナガさんに今回の企画を受けてもらうように交渉を始めていました。静岡クリエイトの社長さんとの出会いは,たまたま“ゴム動力プラ子”さんのブログを読んで,プラ子さんが勤めていた会社である静岡クリエイトであれば,縮尺鉄筋の製作をお願いできそうだと思い,静岡まで行って共同研究することになったのです。ちょうど土木学会誌の新企画を提案する1年ほど前です。このあたりの経緯についてはまた別の機会に書きたいと思います。

 編集委員会に提案した企画書の抜粋を以下に示します。

“土木学会誌では,写真が多くなり見やすくなっていますが,土木構造物は写真の場合冷たいというか,殺風景な印象を受けやすいものが多い印象を受けます。また,どうしても版権の問題や諸般の事情で写真を掲載できないものも多々あります。写真では表せない温かみを出す方法の一つとしてイラストがあると思います。是非,学会誌にもイラストを多用してはどうでしょうか。

 ご紹介するモリナガ・ヨウ氏は,風景や機械ものを独特の風合いでイラストにされている方で,とても温かみのあるイラストを描かれる方です。人物画も非常にすばらしく,テレビ朝日のアナウンサーの似顔絵を描かれたりしています。

 企画案としては,温故知新のような現場ルポに同行していただくか,例えば1年シリーズで土木遺産やホットな現場をイラストで紹介してもらうようなものをお願いしてはいかがでしょうか。“

 この後にモリナガさんのプロフィールを付けて提出しました。編集委員会で了承が得られたので,早速モリナガさんに連絡して10月半ばに土木学会でお会いして,企画内容を説明し引き受けていただけるかどうかの確認をしたところ,快く引き受けていただけました。その時,企画のタイトルをどうするかということで,「モリナガ・ヨウのぶらっとぉ現場見学」,「モリナガ・ヨウのブラっとぉ現場拝見」,「モリナガ・ヨウの現場雑記」,「モリナガ・ヨウの現場あれこれ」などを提示し,いろいろ意見を伺って「モリナガ・ヨウのぶらっとぉ土木現場」になりました。私は,タイトルにモリナガさんの名前を入れることと,ぶらっとぉというちょっとフワッとした感じの言葉を入れることを主張し,委員会でもそれでいきましょうということになりました。

 企画のコンセプトとしては,イラストレターであるモリナガ・ヨウさんの視点から土木現場を描いていただき,現場に携わっている方たちには専門でない人(素人?)の視点から見た場合の土木現場について,いままで気がつかなかったものを再発見してもらえること,直接現場に携わっていない方々には,現場の面白さ,素晴らしさなどを知ってもらうことで,これまでの現場紹介と違った角度から現場を捉えたものとしていくことにしました。毎月の掲載とし,2ページ見開きで横書きとするとしたのですが,これが結構ハードであることを後から知ることになります。

 取材は,基本的に1回/月以上(2回/月ペース)で,できるだけ旬の現場としました。第一シリーズでは東京近郊に限定して行うことにしたのですが,当時の編集委員会の委員長から,“土木学会誌は全国紙なのだから,全国の現場を対象にしなさい”と言われました。当初,モリナガさんと話をした時に,モリナガさんの家と大学のキャンパスが近いので,近所の側溝の工事や電柱の敷設の工事なんかいいですよねということになってそのあたりで取材していくことを考えていました。委員長がそう仰るのならばということで,二人が行きたい沖縄と北海道(北海道は何回も行きました)の現場を事務局の方で探してもらうことにしました。

 取材体制は,モリナガ・ヨウさんと私で行い,依頼先の方に現場の道案内,質問への対応をお願いすることとしました。また,事務局としてN課長にも一緒に行っていただくことにしました。

 記事作成及び大まかなレイアウトはモリナガ・ヨウさんにお任せして,私は200字程度で工事概要を執筆することになりました。イラストには,現場のこぼれ話,ウラ話も織り交ぜられるようにモリナガさんにお願いしました。

 取材先でのエピソードなどはまた今度書きます。