法政大学コンクリート材料研究室

法政大学コンクリートの活動報告

土木学会誌の変遷(高度成長期から現在)

 今日は,70年代から現在に至る表紙のデザインを中心に書きたいと思います。

 昭和37年(1962年)~昭和47年(1972年)までの表紙デザインは,幾何学的なデザインでしたが,昭和48年(1973年)では,1月号が黒部ダムの平面図,2月号が首都高6号線と9号線との接点に建設されたインターチェンジ図面,3月号が東京駅の平面図,4月号がその年着工した本州四国連絡橋・児島-坂出ルート 南北備讃瀬戸大橋というように,毎号各種構造物の図面を掲載しています。図面を表紙としたデザインは,昭和49年(1974年)までの2年間で,その後以前の幾何学的なデサインに戻っています。昭和50年(1975年)からは,14年間(平成元年(1989年)まで)にわたって中井一郎氏が担当されています。

 昭和60年(1985年)から,表紙に写真が初めて登場します。元年に入った最初の号はリニアモーターカーの完成予想図となっています。また,この年から表紙写真がどこなのか(何なのか)が目次に掲載されるようになりました。

 平成2年(1990年)からは,技報堂が表紙デザインを担当するようになり,各号の特集に併せた写真を表紙に載せるようになりました。また,平成5年(1993年)からは,これまで表紙の一部に写真を配していたのに対して,表紙全体に写真を配するようになりました。

 平成6年(1994年)から(株)武井制作室に表紙デザインが交代しましたが,表紙全体に写真を配するのは変わっていません。この年に選定された写真は,この年から始まった土木紀行の記事にちなんだものとなっています。これは,平成10年(1998年)まで続くことになります。また,これまで土木学会誌という日本語の雑誌タイトルがメインでしたが,平成8年(1996年)には,国際化を意識して表紙右側に英語タイトルが大きく表示され,土木学会誌の文字が右下に小さく表示されるようになりました。ただし,翌年から英語タイトルも少し控えめな表記となったものの,英語名をメインに据えているのは変わっていません。ちなみに,英語のタイトル自体は,昭和32年(1957年)1月号から日本語と併記されるようになっています。

 平成10年(1998年)では,表紙の写真,タイトルとも非常に控えめな構成となっており,背景の雪景色を強調したデザインとなっています。この年から表紙デザインをどこ(誰)が行っているのか記載されなくなり,写真提供などが載るのみとなりました。

 平成12年(2000年)は,表紙のテーマとして近代日本技師の図面による表現と題して,幕末から明治にかけての土木技術者たちの業績としての図面を表紙のデザインになっています。平成13年(2001年)からは,過去の土木に関する絵や写真をいくつか組合せ,裏表紙に写真の解説と解説者のプロフィールが紹介されています。また,平成14年(2002年)では,表紙中央に季節を感じさせる写真がはめ込まれるというデザインとしており,表・裏表紙両方とも使用し始めた最初となっています。平成15年(2003年)では,表紙写真・エッセイ学生応募作品を,写真とエッセイ(裏表紙)に毎号掲載する形式をとり,平成16年(2004年)では,学会誌に刻まれた技術者の精神をコンセプトとして,写真,図,文章などを表紙デザインとしています。平成17年(2005年)4月号からは,世界の土木構造物を取り上げて紹介しています。平成18年(2006年)は,世界土木紀行というコンセプトで,裏表紙に写真の地域の説明を加えています。その後は,1~2年ごとにテーマを設けて表紙がデザインされており,昨年,一昨年は広野りおさんというイラストレータの方が特集に合わせた形で表紙のイラストを描いています。

 土木学会誌のロゴについては,”土木學會誌”のロゴが第1巻から使用されていましたが,昭和37年(1962年)1月号から昭和48年(1973年)までの12年間,”土木学会誌”のロゴに変わっています。昭和49年(1974年)の1年間,”土木學會誌”のロゴに戻りましたが,昭和50年(1975年)から”土木学会誌”のロゴとなり,昭和57年(1982年)では,土木学会誌のロゴが縦書きになっています。昭和60年(1985年)からは,土木学会誌のロゴのフォントが明朝に代わっています。昭和63年(1988年)からは,再び横書きに戻り,平成2年(1990年)には,16年ぶりに”土木學會誌”のロゴとなり,一時期土木学会誌に戻った時もありましたが,現在では”土木學會誌”のロゴになっています。また,昭和32年(1957年)から併記されていた土木学会誌の英語名”Journal of the Japan Society of Civil Engineering”は,平成15年(2003年)の4月から”Civil Engineering”という英語名に代わっており,現在まで続いています。