法政大学コンクリート材料研究室

法政大学コンクリートの活動報告

アヤ・ソフィア

 トルコのイスタンブールにある「アヤ・ソフィア」が博物館からモスクになるというニュースを今朝ニュースや新聞でみました。「アヤ・ソフィア」というかトルコへはこれまで2回学会の発表で訪れています。1回目は1992年の5月に以前勤めていた建設会社の技術研究所での初めての海外出張でした。当時バブル絶頂期でもあり,研究所の研究員の立場でいきなりビジネスクラスに乗ることができました。ホテルも発表会場のホテルであるヒルトンホテルに泊まりました。今思えばなんという贅沢な海外出張だったかと思います。技術研究所からは,私の他に建築から2人(年配のK主任研究員と私よりも少し年下のK君)で,K君も初めての海外発表だったと思います。私たちは,コンクリートの世界では超有名なN教授のツアーに参加しました。大学の先生,民間企業の人たちも多く参加しており,総勢で30人近くいたと思います。同年代の大学の先生も何人か参加されていて,この出張以降懇意にしていただいています。ツアーには添乗員の方(男性)が日本から同行されていて,団長以下色々な申し出(というかわがままに近いような要望まで)に対して,嫌な顔一つされず対応されていました。行き先は,トルコでの学会発表の他,ギリシャで開催される学会(こちらでは発表はせず)にも参加し,約2週間の豪華旅行でした(金額は100万円くらいだったと思います)。

 この初めての学会発表については,また別の機会で書きたいと思います。ちなみに発表した論文は“M. Yurugi, T. Mizobuchi, and T. Terauchi, Utilization of Blast Furnace Slag and Silica Fume for Controlling Temperature Rise in High strength Concrete, FLY ASH, SILICA FUME, SLAG AND NATURAL POZZOLANS IN CONCRETE, ACI SP-132, Vol.2” というものです。この当時,パワーポイントによる発表ではなく,スライドによるもので,わざわざカラーのスライドを業者に作成してもらいました。この製作費だけでも云十万円かかっていたと思います。

 話がだいぶ逸れてしまいました。学会期間中は,自分に関係するセッション以外は比較的自由な時間があったので,トルコまで来ることなどそうめったにないと思い,K君と二人でイスタンブールの旧市街地を中心に観光することにしました(ツアー全体でトプカプ宮殿や第二ボスポラス海峡橋(正式名称は,ファーティフ・スルタン・メフメト橋),ドルマバフチェ・ジャーミイ(オスマン帝国のスルタンが住んでいた王宮),ガラタ橋,ガラタ塔など)。市内観光では,K君がどうしても行きたいところが2つあるといい,一つはアヤ・ソフィア,もう一つはトルコ風呂で,二人で市内観光しながらこの2箇所(トルコ風呂は建物ではなく,筋肉隆々の男による垢スリ体験)に行きました。K君曰く大学の講義で一生に一度はアヤ・ソフィアを見ておきなさいといわれたそうで,この古代建築の大空間構造は必見の価値があるのですと力説してくれたので,古建築を見るのが好きだった私も一緒に観に行くことにしました。

 アヤ・ソフィアは,もともと東ローマ帝国時代のキリスト教の大聖堂として建設され,その後15世紀にオスマン帝国によって征服されるとモスクとして改築され,4つの尖塔を持つ現在の形となり,第一次大戦トルコ共和国の建国に伴い博物館となっています。アヤ・ソフィアは,東ローマ帝国の代表的な遺構で,ビザンティン建築の最高傑作といわれ,またオスマン帝国時代においても第一級の格式(モスクの最高の格式は6本の尖塔を持つブルーモスク)だったそうです。

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アヤ・ソフィアの全景(4本の尖塔と中央には巨大ドーム)

 アヤ・ソフィアの近くに行くとその巨大なドームに目を奪われます。そして,堂内に入るとその大空間に圧倒されます。遥か彼方のドーム型の天井とその間に柱がない巨大空間を目にして,K君の言う通り,建築を学ぶ者にとって一生に一度は見ておくべき建築物ですといった意味がよく分かったような気がしました。しばらくは,上を見上げてポカンとしていました。いった時は,壁や天井等の修復作業を行っていましたが,内部の装飾の美しさも素晴らしいものでした。まさか,20問後にまたみられるとは思ってもいませんでした。この話もまたいつか書きたいと思います。

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内部の大空間に圧倒されます

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