法政大学コンクリート材料研究室

法政大学コンクリートの活動報告

土木のイメージ

 某大手予備校でのインタビューですが,目からウロコというかやはりこんなことを考えないと競争が激しい受験業界は生き抜いていけないと痛切に感じるものでした。以下にインタビューの内容の抜粋を書きます。

 

 インタビューでは,最初に“土木系学科というと予備校の先生から見てどのような印象ですか?”という直球を投げてみました。その返答はなるほどというもので,インタビューに答えていただいたT氏は,土木から受ける印象は,名前の“土”と“木”という泥臭さですといわれました。私たちも土木というと何となく泥臭いというか,地べたに張り付いたようなイメージを持たれているのではというのを薄々感じていましたが,直球勝負に対して,しっかり打ち返されたという感じでした。土木のイメージは,当然受験生も感じていることであり,それ自体は昔から変わっていないとも言われました。その一方で,最近の土木の名称が「環境」「都市」「社会」「システム」などと次々と変わり,名称の曖昧さによる学問としての不安感がありますというこれまた痛いところを突かれる発言をされました。たとえば,「都市環境」に名称を変えれば,生徒は集まるだろうとは思いますが,本当に土木をやりたい子が行くのだろうかと思いますとも言われ,ごもっともで御座いますが,我々も商売なので,まず人が集まらないことには経営が成り立っていかないのも事実ですと正直に返答したのを覚えています。

 T氏からはこんな返答もいただきました。土木工学科のメリットは,就職がよいこと,他学科より公務員になる割合が高いこと,資格がたくさん取れるということがあげられますよと言われました。つまり,出口(就職)はとてもよくて,本人が技術者として社会に幅広く貢献したいというのであれば,理系の中では建築・土木が一番よいと思いますとのことでした。

 次に,受験生から見た土木学科の印象というのはどんなものですかと伺ったところ,受験生にとって土木の守備範囲が広すぎて職業自体がイメージしづらいこととか,公共事業の負のイメージ(不正や税金の無駄遣いといったもの)があり,具体的な検討に入る前に興味を失っている可能性がありますと言われました。特に,最近の学生はイメージに左右されやすく,例えば姉歯事件(2005年に起きた耐震偽装事件)があったときには,建築の志望者が減ったり,映画で『海猿』(2004年公開,監督:羽生英一郎,出演:伊藤英明加藤あい他)が公開されると,翌年の海上保安大学校に受験生が殺到したりということが起きたそうです。このような現象が起こるということは,受験生自体に自己というか自主性がないということの裏返しであり,世の中のちょっとした動きやトレンドに左右されやすいということです。今の子たちは,小さい頃の原体験が少ないことにも原因があるのでないかと思っているそうです。たとえば,自分木を切ったりして何かものを作った経験がなく,そのため,ものづくりの楽しさを知らないまま大きくなってしまっていて,建築や土木に興味を持てないのではといわれました。

 続きはまた明日書きます。そろそろ委員会に行かないといけない時間になってしまいました。