法政大学コンクリート材料研究室

法政大学コンクリートの活動報告

現状を打破するためには,土木をPRする映画やテレビドラマが必要!?

 某大手予備校のT氏のインタビューで,私はかなりダメージというか土木ここまで駄目なのかと思い知らされました。藁をも掴む気持ちでT氏にこの現状を打破するためにはどのようにしたらよいですかとお聞きしましたところ,土木や建築へ行きたいと思っている多くの受験生は,小さい頃にお父さんの現場を見たり(父の背中をみて,その仕事に憧れる),旅行やテレビで歴史的な建造物やダム,橋などの構造物を見たりして,そのスケール感や人の英知が詰まった姿に感銘を受けたからではないでしょうかと言われました。確かに,見上げるような巨大ダムや遥か彼方まで続く橋の姿に心ときめく人は少なからずいると思います。T氏は,このような体験もひとつの原体験ですと言われました。

 その他にも,映画『黒部の太陽』(1968年講公開,監督:熊井啓,出演:三船敏郎石原裕次郎他)を見て土木の世界に憧れた人はたくさんいます(私よりも少し上の世代の方で,現在70歳前後の人の多くに,何故土木の道を選んだのですかとお聞きすると(会社に入った頃こちらから聞くというよりも,酒宴の席などでの自慢話としてよく聞かされました),「黒部の太陽」を観て,そのかっこよさに憧れてこの道に進みましたと答えられる人がほとんどでした)。土木学会には,「黒部の太陽」のような土木に憧れるような映画やテレビドラマを作って欲しいと思いますと言われました。

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映画「海猿

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テレビドラマ Good Luck!

 映画『海猿』(2004年公開,監督:羽生英一郎,出演:伊藤英明加藤あい他)や,木村拓哉主演のテレビドラマ『グッドラック』(TBS,2003年1月~3月放送,脚本:井上由美子,演出:土井裕泰,福澤克維,平野俊一,出演:木村拓哉堤真一柴咲コウ内山理名他)のように,職業イメージをアピールするメディアだとか,『プロジェクトX』のようなドキュメンタリー(今ならば,プロフェッショナル-仕事の流儀-)で土木の仕事というかどんなことをしているのかアピールしていかないと,土木が何をしているのか受験生たちに伝わっていきませんよと言われました。

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プロジェクトX,挑戦者たち

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プロフェッショナル,仕事の流儀

 国の大切な基盤をつくっているのは土木なのですから,もっとアピールしていかねばならないのに,マスコミというかメディアに取り上げられるのは,事件の時の職業が土木作業員(最近では建設作業員というのが多くなっています)だったり,脱税や政治家への献金をしているのが建設会社だったりと悪い面ばかりです。これでは,受験生が土木を目指すわけがありませんと言われました。

 T氏からは,今の高校生や受験生にメディアを通して土木の魅力を伝えても既に手遅れだと言われました。また,高校の進路指導の先生たちは,ほとんど文系の先生で,理系の先生でも理学系が多くて,工学系の先生はほとんどいませんから,土木や建築を進めるわけがないと言われました。また,一般企業に務めた経験はほとんどない(大学を卒業してそのまま教員になっている)ので,インフラの整備だとか建物の建設のようなことは,情報というか知識として知っているだけで,その実態だとかしくみなどはほとんど知らないので,言ってみれば土木に関することは,受験生と同等のレベル程度であり,土木の魅力を伝えるなどということはできないと言われました。

 このような現状を打破するためには,小・中学校の先生をターゲットにして土木の魅力を伝えることだと言われました。確かに小さい頃の刷り込みは非常に有効であり,素直なうちに土木の魅力をいろいろ伝えていけば,その道に進む子も増えることになります。そのためには,それを現場で伝える先生たちにまずは土木の魅力を知ってもらうことだと言われました。昔は,優秀な生徒は医者を目指しました。小・中学校の先生たちも医者になるのが頭のよい子の行き先なのだという思いが刷り込まれていて,当然そうなるとその思いを生徒たちに伝えるわけですから,優秀な生徒は皆医学部へ行くということになります。

 まずは,小・中学校の先生に土木の魅力を伝える手段,テレビでも映画でもよいですし,建設関係の人たちが社会見学などを積極的に企画して,地元の小・中学校を招き入れて,その時に土木ってすごんだぞというのを,生徒だけでなく,先生たちに思わせることが大事ですと言われました。至極ごもっともな意見だと思いました。

 このインタビューを受けて,私は土木の映画を作りたいと思ったことと,小・中学生から大人まで楽しめて,面白い媒体(具体的には本の出版)をどんどん出していくことだと思いました。

 次回は,土木の映画作りの構想(妄想)について書きたいと思います。