法政大学コンクリート材料研究室

法政大学コンクリートの活動報告

この橋の向こう(研究室活動編)

 研究室も決まり,卒業研究の仲間も決まって,やる気満々の真理子ですが,教授から渡された暗号文のような卒業研究テーマの解読に四苦八苦します。その様子を見ていた大学院2年生の隆浩が教授の癖のある文字の解読を手伝ってくれます。真理子はほのかな憧れとともに恋心を抱く。研究テーマの内容が少し理解できたところで,自分のやるべきことを考え始める。一方で,就職活動も行い,5月には第一希望だったスーパーゼネコンから内々定をもらう(実は,この会社,高校の時に偶然出会った女性土木技術者が務める会社で,真理子自体その時気にも留めていなかったという設定)。本社での面接を終えて,一階のフロアに下りていくとどこかで見かけた女性が歩いてくる(当然,作業着,ヘルメット姿ではなくスーツ姿)。最初は誰だか分らなかったのですが,通り過ぎてから高校の時偶然出会った土木技術者であることを思い出し,振り返って声をかける。相手は,最初怪訝な表情で振り返るが,真理子が“以前,〇〇市の現場で色々お話ししていただいた時の瀬川です!”と話をすると“あの時の高校生の子,見違えちゃったわ。どうしてここにいるの?”と言われ,“私,この会社の面接を受けに来たのです。あなたのような仕事がしたいと思って”と話すと“あの時も建設の仕事をしたいと言っていたわね。初志貫徹といったところかな。ところで,あなた,学部生?”と聞かれ,“〇〇大学の4年生です。今,柳沢教授の研究室にいます”と答えると,“あの有名な柳沢教授のところにいるんだ。厳しい先生だけど,あなたにとっては良い経験ができると思うよ。だけど,折角柳沢先生のところにいるんだったら,大学院に進学して,しっかり研究やったほうがいいんじゃない。就職するのもよいけど,院に行っていろいろ経験したほうがあなたのためになると思うよ。私も大学院に行って,いろいろ経験したことが今の仕事にいろいろ役立っているよ。”と言われた。まさか,そんなことを言われるとは思っていなかったので,真理子自身の気持ちが大きく揺らぐことになります(ここの心情うまく表現できるとよいのですが)。

 面接から1週間後,第一希望のスーパーゼネコンから内々定の通知がくるものの,真理子自身は女性土木技術者(名前は真帆ですかね。実在の女性土木技術者です。キャライメージはこの方をモチーフにしています)からの一言があり,心底喜べないでいた(家族に話をして,それまで土木の道に進むのを反対していた家族の中で母親が一番喜ぶ様子のシーンを入れたいと思います。一方,父親は真理子が心底喜んでいない様子を感じ取って,何も言わないものの,心配そうな顔をする)。就職先が決まったものの,中々卒業研究に実が入らない日々が続く(このあたり,うまく画になるとよいのですが,実験を失敗したり,解析で思わぬ間違いをしたりして,思うようにいかずイライラした日々が続くといったようなシーンがよいかなと思っています)。そんな中,柳沢教授から部屋に来るように言われる。

 柳沢教授の部屋に入ると,教授は机のパソコンに向かっていた顔を上げて,机の前の椅子に座るように促す。柳沢教授から“最近,研究うまくいっていないようだが,何か問題でもあるのかな。院生や吉川さんに相談しているのかな。わからないことがあるのであれば,私に直接聞きに来ても構わないよ。”と話をされました。真理子は,就職先も第一希望がほぼ決まっており,研究に専念できると思っていたのですが,真帆からの一言が心の隅に引っかかっていて,研究に専念できていないことを柳沢教授に話す。それを聞いた柳沢教授から“就職するかどうかを決めるのは君なのだから,周りに惑わされることはないと思うよ。ただし,君が悩んでいるということは,自分自身今就職することに納得していないのではないんじゃないのかな。学部卒と大学院卒で何が違うと思う?大学院の2年間は,君たちにとってはたった2年間かもしれない。しかし,中身の濃さが全く違うのだよ。学部3年生までは,ほとんど座学で,自ら考え,手を動かすことがない。いわば,いろいろ必要な分野の基礎的な内容を学んだだけ,知識を蓄えただけなのだよ。その蓄えを基に各研究室でいろいろな研究を行っていくんだ。しかし,たった1年しかない。実際には半年くらいなのかもしれない。そうするとほとんど不完全燃焼で終わってしまうんだ。大学院では,それを2年間じっくり行うことができる。自分の研究成果を国内外の学会で発表することもできる。学部出て,会社に入ってバカンスで行く海外旅行と違って,同じ研究分野の人といろいろディスカッションすることもできる。そうしていくと,自然と自分の中の知の部分の血となり肉となっていくんだよ。これは,大学院に行ったものしかわからないことなんだ。院に行く2年間働かいのは勿体と嘯く学部卒の人たちは大勢いる。残念ながら,彼らは大学院で学ぶ意味を知らないんだ。たかが2年間だが,社会に出て身に着ける何倍,何十倍も得られるものがある。君は,心の中でそれを感じているんじゃないのかな。だから素直に就職が決まっても喜べないんだと思うよ。人生は一度きりなんだから,悔いがないように生きていってほしい。大学院の2年間は,君の将来の選択肢を何倍にも増やせるチャンスだと思ったらよいと思うよ”と言われました。父親が大学の進路で悩んでいる時に言った「人生は一度きりなんだから,自分のやりたいことをやったほうがよいと思うよ。」という言葉が真理子の脳裏をよぎりました。真理子は,何か吹っ切れたような表情となり,“先生,お話ししていただきありがとうございます。私,大学院に進学したいと思います。”と柳沢教授に告げ,深々と頭を下げる。

 その後,内々定をもらったスーパーゼネコンに辞退の連絡をするとともに,家族に話をします。当然,母親は何でそんなことをするの,後2年間誰が学費払うのといろいろ喚き散らします。父親は,ずっと黙っていたのですが,ポツリと“自分が決めた道ならば,そうしたらよい。学費の事は心配するな”と言って,部屋(リビング)を出ていきます。

 ちょっと長くなってしまいましたが,今日はここまでとします。次回は卒業研究を無事とりまとめ,大学院での生活を書いていきたいと思います。この映画のメインは,会社に入ってからの話なのですが,そこまでの伏線が結構長くなってしまっています。でも,書いていて自分自身だんだん面白くなってきました。