法政大学コンクリート材料研究室

法政大学コンクリートの活動報告

ジェネレーションギャップ

 先日,学生と話をしていて,私が学生の時の卒論研究の話に及んでその時のことをいろいろ話していくと,私のいっていることが全く理解できない(知らない)というのが度々ありました。まあ,今から40年近くも前の話なので当たり前と言えば当たり前なのですが,これほど隔世の感があるとは思ってもいませんでした。

 以前も書いたと思いますが(4月23日,私の卒業研究),卒業研究の本論は図表も含めて全て手書きでした。私の卒業研究は,マスコンクリート構造物のパイプクーリングによる熱除去効果解析というタイトルで,プログラミング(コーディング)とそのプログラムを用いた解析でした。プログラムは,全て一から作成した自前のものでした。サブルーチンも含めると全プログラムの行数は数千行だったと思います。最初,それらをパンチカードに打ち込んで,すごい束になったものを計算機センターまで運んでいきました。センターは,私がいた研究室棟から5分ほど離れていて,途中道路を横断しなければならない(大学の真ん中に道路がとおっています)という位置関係で,結構運ぶだけでも一仕事でした。そこで,カードリーダーと呼ばれる機械でパンチカードを読み込んでもらい,画面上で読み込んだプログラムを確認し,大丈夫であればそれを大型計算機でランしてもらうのです。しかし,大丈夫と言ってもタイプミスなどのバグがあって,それを見つけるまでに結構時間を要しました。当時パンチカードでの入力とTSS端末による入力の両方できたのですが,TSS端末の台数が少なく,長時間占有できないので(全学で使用している),プログラムの作成はパンチカードで行って,修正についてはTSS端末で行っていました。

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パンチカード(例)

 この話をしていて,学生からパンチカードというのは何ですかと聞かれて,パンチカードを知らないことにちょっとショックを受けましたが,生まれる以前の話なのでそれもそうかと思いました。学生がパンチカードを検索して,これですかといわれたので,それだよというと不思議そうに見ていました。現在学生が持っているパソコンであれば一瞬で終わるようなモデルの大きさ(節点数が2000くらいのもので,数百ステップ)なのですが,当時の大型計算機で1日以上かかっていたと思います(私だけのジョブではないので,致し方ない)。解析をスタートさせて翌日結果の束(アウトプットは紙の束で,結果は数字の羅列)を受取り,手書きでグラフにするという作業を繰り返していました。解析結果が収束しないで発散してしまうとか,振動してしまうなどがあると,それがどのようにして起こっているのかわからず数日悩んだりしていました(意外と,入力値の桁が間違っていたり,±を間違えていたり,乗じなければならないところが除していたり等結構単純なミスだったりします)。

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TSS端末の画面(例)

 数十年前の話ではありますが,今の学生たちが如何に楽をして解析できているのかと思います。しかし,彼らが私の歳になったころには一体どうなっているのか想像だにできません。でも,こういう話をしていると私自身このようなジェネレーションギャップをある意味楽しんでいるのかもしれません。