法政大学コンクリート材料研究室

法政大学コンクリートの活動報告

成瀬ダム見学(2日目,前半)

 翌日は,8時に現場の車がホテルまで迎えに来てくれて,8時40分に現場事務所に到着しました。すぐに,ヘルメット,防寒着(この日は結構暖かだったので,途中で脱ぎました),長靴を履いて,現場に向かいました。最初にCSG製造設備のところに連れて行ってもらって,試験室でCSGの品質管理状況を見せていただきました。試験室の中央には,大画面のモニターがあって,打設場所のITVとダム堤体の平面図が並列で映し出されていて,今どこを打設しているのか一目でわかるようになっていました。将来的には,品管図なども画面上に出して,品質管理状況もわかるようにするそうです。私がダム現場にいた頃は,無線だけが頼りで,バッチャー(コンクリート製造設備)からの連絡で試料を取りに行ったりしていました。今は,ネットでのやり取りによってリアルタイムでわかるようになっており,品質管理方法でも隔世の感があるのを痛感しました。まだ,堤体打設が始まったばかりなので,フルスケールの供試体(Φ300×600mm)と従来使用されている供試体(Φ150×300mm)の両方を採取して両者の相関についてのデータ取りをしているそうで,将来的には小型供試体(Φ150×300mm)のみでの品質管理に移行していく予定とのことでした。CSG自体は,従来のコンクリートのように水中養生ではなく封緘養生しているのも不思議な感じがしました。骨材の状態が逐次変化するので,骨材のふるい分け試験を頻繁に行っているとのことでしたが,元々CSGは現地発生の骨材を未洗浄で使用し,品質については細かく問わない(手間をかけない低品質のコンクリート(土砂))のが主旨であったはずなのですが,結局コンクリートと同等の品質管理を求めようとするところは,役所工事の弊害といえます(RCDコンクリートも海外のようなRCCのような品質管理(ほとんど土砂としての扱い)のはずがいつの間にかコンクリート以上の品質を求めるようになってしまいました。CSGは,その反省を生かして日本で開発されたものなのですが,結局同じ轍を踏んでいるようです)。

 次に,実際のCSGのプラントを見せてもらいました。この日は,2系統でCSGを製造しており,CSGを積んだ重ダンプが目の前を通っていく姿はスゴイ迫力でした。CSG製造にはMYミキサ(ドライミキシング)とSPミキサ(水を注水して練り混ぜる)があり,MYミキサは前田又兵衛氏(前田建設工業の名誉会長)が趣味のうどん作りをヒントにコンクリートのミキシング方法を考案され(後に東大で博士号を取得されています),それを改良した重力による落とし込みでミキシングするものです。SPミキサは5つのブロックが連結されていて,それらが正反に回転することで練混ぜを行うものです。最盛期には1200m3/h製造するそうで,コンクリートダムしか知らない私にとっては想像もできないくらいの製造能力を有しているプラントでした。また,その操作室も見せてもらいましたが,無人化製造に近いシステムとなっていました。CSGプラントを見せてもらった後に,コンクリートプラントも見せていただきました。コンクリート試験室では,温井ダムで一緒に働いていたK君と26年ぶりに再会しました。彼との経緯については,話が長くなるので次回書きたいと思います。それにしても,彼がまだダム現場で働いているというのは驚きでした。