法政大学コンクリート材料研究室

法政大学コンクリートの活動報告

ストップウォッチ

 前回,ミキサの清掃(コンクリートの斫り落とし)のことを書きましたが,もう一つ暇なときにしていたことを思い出しました。特殊水中コンクリートの練混ぜとフレッシュコンクリートの試験では,ストップウォッチが欠かせません。練混ぜ時間の確認,練り上がった後のスランプフロー試験(流動性が高いので,スランプでは測定できず,コンクリートの広がりを測定する方法)での5分後,10分後,静止時でのフロー測定があるので,常にストップウォッチ片手に試験を行っていました。さらに,10時間後まで毎時間スランプフローの測定を行うので,一度練ると一日中ストップウォッチと睨めっこしながら試験をしていました。特殊水中コンクリートは,粘性が非常に大きいので,ストップウォッチに結構付着してしまうと中々とることができません。特にタイムを計る部分に付着して,それが固まるとボタンを押すことができなくなり,何個もストップウォッチを駄目にしてしまいました。それが試験室の傍らに置いてあったのを,暇な時間に分解してこびりついたペーストを取り除くことをしていました。全部は直りませんでしたが,いくつかは掃除してまた使えるようになりました。元々細かいものをいじるのが好きなので(プラモデルの製作はその最たるものです),ストップウォッチの解体と清掃はよい暇つぶしとなりました。そんなことをしていたので,いつの間にかストップウォッチが動かなくなると私に手渡されて掃除しておいてほしいと言われるようになりました。掃除して動いたら儲けもの程度なので,こちらもあまり気を使わないで行えました。結局,5個以上のストップウォッチを分解・清掃して動くようにしたと思います。

 大規模工事の後,舞子の先の東播というところで,実規模実験(30m×30m×深さ20mくらいだったと思います)が行われ,H社が工事(これくらいになると結構な額の工事になります)を請け負い,T 社(3P海中基礎工事を受注)とK社(2P海中基礎工事を受注)からも応援と称してやはり機械化研究所での若手メンバーが呼ばれ,東播通いをしました。この時もストップウォッチの清掃をやっていたと思います。さらに,明石海峡大橋の海中基礎工事でも品質管理に呼ばれた(夜勤担当でした)時も品質管理試験の間暇だったので(ただし,2時間に一回は経時変化試験を行うので,仮眠もできませんでした),ストップウォッチの清掃をしていたのですが,工事が順調に進捗し始めると技術研究所から呼ばれることもなくなり(当時,技術研究所から技術協力で呼ぶと1日8万円かかるので,現場としても技術的に問題がなければ,現場職員で十分対応ができることから,当然呼ばれることもなくなります),何個か分解したままとなってしまいました。工事後に当時のメンバーで集まった際に,混和剤メーカのOさんから“プラント船の試験室に分解したままのストップウォッチ預かっているので,掃除して元に戻し下さいね”と冗談でいわれました。実際は,既に廃棄してしまっているのですが,よっぽど私が熱心にストップウォッチを分解,清掃していた姿が印象的だったのではないかと思います。今は,老眼でストップウォッチを分解することすらできなくなってしまっていますが,あの頃分解しながらいろいろな話をメンバーと話したことがとても懐かしく思います。これも私にとって貴重な経験だったように思います。