法政大学コンクリート材料研究室

法政大学コンクリートの活動報告

岸辺露伴は動かない

 年末年始は,いろいろな番組が放送されるので,面白そうだと思うものを片っ端から録画しています。今回も年末の12月28日~30日に放送された“岸辺露伴は動かない”をこの三連休で観ました。NHKの番組の宣伝でたまたま見かけて面白そうだなと思って予約しました。元々ミステリーや探偵ものが好きなので,これもその類かなと思っていました。後から子供に“ジョジョの奇妙な冒険荒木飛呂彦が書いた漫画をドラマ化したものだよ。結構評判になっているよ”と教えられました。ジョジョの奇妙な冒険を読んだことがない私としては,何が評判なのかさっぱり分かりませんでした。子供から,岸辺露伴ジョジョの奇妙な物語の中に出てくる漫画家だそうで,今回のドラマはそのスピンオフ作品だと教えられました。私は,別に誰の原作であろうとドラマ自体が面白ければよいので,あまり気にせずドラマを観始めました。第1話が“富豪村”で,ドラマの開始が露伴の部屋(漫画を描くための作業部屋)に泥棒が入り,物色しているところに露伴が現れ,“ヘブンズドア”と言うなり,泥棒二人組の顔が割れて,本のページが捲られていくという変なオープニングとなっています(ジョジョを読んでいる人たちにとっては当たり前なのかもしれませんが,私はかなりショッキングな映像に映りました)。その人の記憶が本のページに記されているのを読んでいるのは,なかなかシュールな映像でした。この第1話は,禁足地が話のベースになっていて,最近流行りの番組ではないですが“ポツンと一軒家”ならぬ,山奥にポツンと豪邸村があるという設定で,そこに行く道もないというものです。また,その場所の主(実は山の神)がマナーに厳格で,マナー違反で一度は窮地に立たされる露伴が機転と知恵と能力(特殊能力で露伴自身ギフトだと言っているもの)で乗り切る話となっています。このドラマでとても私自身印象に残ったのは,禁足地を設定にしたところで,ドラマを観終わった後,宮崎駿監督の“千と千尋の神隠し(2001年公開)”の話を思い浮かべました。あれも神々が住む場所に人間が立ち入ってしまったところから話が始まっています。まさに禁足地に踏み込んでしまったのです。“もののけ姫(1997年公開)”でも人がかつて禁足地としていた場所に踏み入れていく話が出てきます。“風の谷のナウシカ1984年公開)”でも人が足を踏み入れてはならない(踏み入れられない)腐海の奥の話がでてきます。人が立ち入ってはいけない場所,神聖なる場所には人知を超えた何かがあり,そこにある何かに原作者たちはそそられるものがあるのかもしれません。宮崎監督も荒木氏も自然を恐れぬ振る舞いに対する警告を伝えたいのかと思える内容(深読みしすぎているのかもしれませんが,ドラマや映画を観ているとそんな気持ちにさせられます)でした。第2話は,禁止用語の話なのですが,これも観ていて“天空の城ラピュタ”をイメージしてしまいました。ドラマは言霊の話として描かれており,言葉に憑りつかれてしまう話なのですが,私は天空の城ラピュタの決して発してならない破滅の言葉“バルス”を思い浮かべていました。人が決して踏み入れてはならない場所や発してはならない言葉には,それなりの理由があると私は思っています。第3話は臓器移植で臓器提供者の記憶や癖などが移植を受けた人の中に入り込んでいく話で,これはいろいろな番組で取り上げられているものです。確かに,設計図としてのDNAに何が隠されているのか解明されていないので,DNAによって記憶や知識が子孫に伝承されていくことも当然あっておかしくないと思います。そうでなければ,自分の子供や孫の顔かたちが似てくることもないと思います。

 この世界には,決して常識や理屈だけでは説明しきれないものがまだまだたくさんあると思っています。自分たちは,いつのまにかそのようなものが見れなくなったというか感じ取れなくなってしまったのかもしれません。この岸辺露伴は動かいというドラマ,実は奥が深いドラマなのかもしれません。

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岸辺露伴は動かい