法政大学コンクリート材料研究室

法政大学コンクリートの活動報告

本の想い出

 数日前から,妻が家の本棚の読んでいないで埃被っている本処分して欲しいと言われました。家には,今のところ私の趣味である模型関係の本はほとんど置いておらず,三十年以上前から気になった本や毎月発売された「日本の国宝(全117冊)」,「日本の名城(70冊くらいあったと思う)」,「世界の美術館」などが置いてあります。私の趣味の本は,自分で作った納屋に置いていたのですが,何年か前の大雪で屋根が壊れ,とりあえず大学の研究室に避難させています。いずれ再建するか,レンタルスペース借りてプラモデルと一緒に保管しようと思っています。本棚にある本は,確かに10年以上読んでいないものばかりですが,毎月楽しみにしながら読んでいました。これらの本から,国宝と呼ばれる美術品がいろいろな分野にわたってあるだということを初めて知りました。私なぞは,どうしても寺社仏閣や仏像などに眼が行ってしまうのですが,書籍(巻物など)や絵画,刀剣,武具などの方が圧倒的に多いことも知りました。そんな想い出がいろいろ詰まっている本なのですが,ただしばらく読んでいないから捨てて欲しいというのは,あまりに理不尽だと思っています。妻は,本は借りて読むものと思っています。私は,本は買って読むものであり,読んだ後も手元に置いておくと決めています。もちろん,捨ててしまうのは簡単ですが,暫く読んでいない本もたまに開くと,本の内容というよりも読んだ当時のことが思い出されます。

 今の私の研究室は,本とプラモデルに囲まれています。私自身すごく居心地の良い空間です。たくさんのプラモデルの箱が積み上げられていますが,それを眺めているだけで心が癒されます。本当は,どんどん作っていきたいのですが,なかなか造る時間が取れずにいます。たまに箱を開けて,どのように組んでいくのかなどを想像するだけで幸せになります。残念ながら,妻にはこのような気持ちが全く分からないようです。即物的な考え方なのかもしれません。使っているものもどんどん新しくしていきます。私は,まだ使えるのにと思うものがたくさんあります。まあ,確かに私はなんでも取っておくタイプで,妻はなんでも捨ててしまうタイプのようです。ただし,部屋にはできるだけものを置かない主義かと思っていたのですが,最近はお気に入りのミッフィーをいろんなところに飾ってみたり,私が彫刻家のはしもとみおの作品が好きだと話すと,個数限定のチェス盤をたまたまネットでみて,これをリビングに飾ったらよいと思わないと言ってきたりします。何十万もすると思うし,抽選になるのでまず無理だと思うと話すと,趣味だったらお金関係ないんじゃないなどと言ってきます。私が払うものだから,一向に構わない(自分はまず出さない)と思っている節があります。

 結局,本は捨てることにしました。一旦思い込むと執拗にそのことばかりいうので,いい加減こちらもうんざりしてくるからです。本には可哀そうですが,私の手元から手放すことにしました。本だけでなく,いろいろなモノの裏側にある思い出とか記憶は,手放してしまうとしばらくは覚えていても消えてしまいます。早く研究室以外で自分の居心地の良い場所を作る必要があります。大学にもいつまでもいられるわけではないのですから。