法政大学コンクリート材料研究室

法政大学コンクリートの活動報告

この橋の向こう(新入社員編(シールドトンネル見学3))

 真理子と新巻と吉田の三人は,建屋の中に入ります。建屋内は大型の天井クレーンが2基あり,セグメントが山積みされていました。吉田が“搬入されたセグメントは,一旦ここに仮置きして,1リングずつ立坑に降ろしていくの。ここのシールドは,日本最大級だから,1リング13セグメントあるのよ。1つのセグメントの重さが大体10トンあるから,大型のトレーラでも2個しか運べない。だから,搬入も結構大変なんだ。搬入は昼間しかできないのに,シールドの掘削自体は昼夜行うから,セグメントのストック管理も結構重要になるわけ。セグメント自体も何種類かあって,一般部はRCセグメントを使用して,剛性の必要な個所にはRCと鋼製を組み合わせた合成セグメントを使うんだ。切欠き部など後で加工が必要な個所には鋼製セグメントを用いている。”と吉田が説明してくれる。真理子は,予習済みであったが,写真や図で見るのとは全く違った実際の部材に圧倒されていました。真理子が“この建屋に何リングストックできるんですか”と聞くと“14リング分はストックできるわ。1日に16~17m掘削するので,1日で大体10リング分くらい(セグメントの幅が1.6m)必要になってくるの。順調に掘進し始めたら,結構大変なんだ。”と吉田が答えてくれます。真理子はすかさず“それだけの掘削ズリはどこに運んでいるんですか”と訊ねます。“掘削ズリは一旦現場のヤード内に仮置きして,ダンプで東京湾などの埋め立て場所に運んでいるよ。所長か新巻君から聞いたかもしれないけれど,この現場は夜間のダンプの搬出ができないので,ある程度ヤード内にストックしておく必要があるんだ。”と答えてくれました。打てば響くような吉田の答えに真理子は舌を巻きました。吉田自体が何かキラキラして見えました。現場で働いているとこんなに輝けるんだとその時真理子は思います。私も早く現場で吉田さんみたいにバリバリ仕事したいと心の中で思います。

 “それじゃあ,エレベータに乗って,地下のシールドトンネル見に行きましょう”と言って,吉田は二人をエレベータの方に案内します。歩きながら,新巻が“最初のころは,何聞いてもわからないと答えていた吉田が,2年もいると見違えるようになったな。”と言うと,“そりゃあそうよ。この現場,見学者も多いから自然に覚えてしまったわ。門前の小僧何たらよ”と笑いながら答えます。エレベータで立坑を降りていき,シールドトンネルの入口に出ます。真理子は,想像していたよりも遥かに巨大なトンネルに圧倒されます。また,照明がなんとなく黄色いように感じました。“ここの照明,少し黄色くありませんか”と真理子が聞くと“いいところに気が付いたわね。少し黄色くしておいた方が気持ちは落ち着くらしいの。照明ぎらぎらだと,作業している人たちの気持ちもだんだん殺気立ってくるんだって。一日中穴倉生活しているわけだから,そんなところにも気を配っているのよ。”と吉田が答えてくれました。セグメントで覆われて,継ぎ目がとてもきれいに見えるトンネルがずっと先まで続いている情景に,真理子はまたまた圧倒されます。土木の現場ってこんなに巨大ですごいところなんだとあらためて感動した真理子でした。吉田が“それじゃあ,ちょっと歩くけどシールドマシンのところまで行ってみましょう”とトンネルの中を歩いていきます。

この橋の向こう(新入社員研修(シールドトンネル見学2))

 新巻と真理子は,工事事務所の2階に上がり,事務の女性に所長に取り次いでもらうようにお願いしました。事務所の奥の方に案内されながら,新巻は机に向かって仕事をしている次長や副所長に挨拶して回ります。新巻は,“うちの新入社員の瀬川真理子です。今研修中でうちのグループにいます。今日はお忙しい中お邪魔して申し訳ありません。仕事の邪魔にならないように見学させていただきます”と次長と副所長に挨拶します(事務所内はほとんどの所員が現場に出ていて,事務方と次長以上の幹部しかおらず,ガランとした事務所を写しながらの撮影がよいと思っています)。真理子は,新巻が挨拶している間,事務所内を見渡しますが,入口近くに事務の方がいるだけで,ほとんど出払っているのを見て,どこも昼は皆いないんだと思いました。事務所奥の所長室にノックして二人が入ると,奥の大きな机で画面を見ている飯田所長がいます。“よく来たね。まあ,そこに座ってくれ。”と飯田所長が来客用のソファを指さします。二人並んで座り,対面に飯田所長が座ります。すかさず事務の女性がコーヒーを持ってきます。二人の前にコーヒーを置き,所長の前には日本茶を置きます(飯田所長はコーヒー嫌いで,いつも日本茶を飲むという設定)。“こちらが新入社員の瀬川真理子です。”と新巻が言うと,“瀬川です。よろしくお願いいたします。まだ,研修中で名刺がありません。”と真理子が所長に挨拶します。“瀬川君,出身はどこだい”と所長に聞かれ,“宮城の気仙沼出身です。”と答えます(ちょっとこの場所が良いのか決め兼ねています。もともとこの話を学会誌に書いた時は,幼少時に阪神淡路大震災で被災した主人公という設定にしていました。その後東日本大震災があって,幼少期の体験をこちらに変更したので,あまり場所のことは考えていませんでした。行き当たりばったりになっています。ちなみにオープニングで東北のとある地方都市にしています。岩手県陸前高田か大船渡の方がインパクトあるかもしれません)。“そうか,私は震災復興で暫く大船渡に行っていたよ。大変な思いをしたんだね”と飯田所長が話されます。“まあ,今日は現場をゆっくり見て行ってくれ。新巻君と同期の吉田(女性)に同行させるよ”と言われ,“とりあえず,作業着に着替えてからだな。更衣室は事務の原田さんに聞いて”と言われます。持参した(新巻に,学生とは違うのだから,作業着は必ず持参することと事前に言われているという設定)作業着を持って更衣室に向かいます。安全帯,トラチョッキは現場のものを借りました(真理子は持参してきたのですが,現場のものを使うように言われたので,そちらを使うことにしました)。ヘルメットも持参したので,それは自分のものを使いました。出口で,長靴を借りて外に出ると,颯爽とした女性(吉田)が待っていました。一緒に出てきた新巻に“新巻君,忙しい?”と気軽に声をかけます。新巻が“貧乏暇なしといったところだよ。昨年から今年にかけて受注したのが2件あって,これから入札というのが4件あるよ。吉田もここにきて2年だろ,そろそろ設計に戻ってこないか。猫の手も借りたいくらいだよ”と言います。“何言ってるの。やっと仕事覚えて面白くなってきたところなんだから。まだ,1~2年はいるつもりよ。所長にもそう話しているから”と吉田は答えます。新巻が“吉田とは新入社員研修の時から一緒で,いつも比較されてたよ。出来の悪い俺と何でもそつなくこなすコイツとね”と笑いながら話します。“本当は,この現場俺が来る予定だったんだけど,所長の方針で女性技術者が欲しいと言われて,直前で吉田になったというわけ。最初は,悔しかったけど,その分しっかり設計の仕事覚えて,是非新巻をよこしてくれと言われるようになれ,とその時課長に言われたよ”とニコニコしながら話をします。真理子は,自分にもこんなライバルがいたらよいなと思います(二人の掛け合いを見ながら心の声でいうといったところです)。3人で立坑のある建屋の方に歩いていきます。

この橋の向こう(新入社員編(シールドトンネル見学))

 真理子は,最初のトンネル見学である都内のシールド現場の前日の夜,興奮しすぎて小学生の遠足の時のように中々寝付けませんでした。半分ボーっとしながら午前中の業務を済ませて,昼食もそこそこにシールド現場に向かいました。設計部からは地下鉄一本(途中私鉄と繋がっているので)で最寄り駅に行けます。そこで,バスに10分ほど乗って,シールド現場の工事事務所があるバス停で降りました。バス停から5分ほど歩くとクレーンが何本か立っているのが見えてきました(ここは,できるだけ遠くから撮り始めて,長回しで真理子の後ろ姿を追いながら,前方に現場が少しずつ見えてくる画が撮れればと思います)。2階建てのプレハブの工事事務所に到着しましたが,まだ約束の時間の1時間以上前だったので,現場近くを散策することにしました(季節としては6月なので,ブラブラするのにちょうどよいと思います。やはり,晴れの日の撮影が良いですね)。真理子自身,工事現場のイメージとしては,結構うるさくて埃っぽいというものでしたが,現場周辺は住宅街で凄く静かなのに驚きました。近くに川も流れていて,土手にいろいろな花々が咲いているのを見ていると,ここで工事が行われているなんて想像できないと真理子は思いました。まだお昼ちょっとすぎだったこともあって,人通りもまばらでした。道沿いのお店を見ながら時間も忘れて歩いている風景と,思わず時計を見て待ち合わせの時間ギリギリであるのに気が付いて,慌てて現場事務所に戻る画も撮りたいと思います(しっかり者の真理子の以外な一面というか天然ぶりを少し出したいところです)。

 工事事務所の前には,新巻が立っていました。“随分早く会社出たのに,何処で道草喰っていたんだ”と新巻にいわれました。真理子は,“すいません。早く着きすぎたので,この辺りをブラブラしてたら,待ち合わせの時間ギリギリになってしまいました。”と答えました。“工事現場の周囲は,結構うるさくて埃っぽいと思っていたのですが,とても静かで,クレーンや塀がなかったら,何処に工事現場があるのかわからないくらいでした。”と真理子はみてきたままのことを新巻に伝えました。新巻は,“現場周辺の方たちは,皆が皆工事を行っていることに賛成しているわけでもないし,普段の生活を乱されたくないと思っている方たちもたくさんいる。周辺住民への配慮は,並大抵ではないんだよ。特に,このような住宅街に隣接した場所での工事の場合は,人一倍気を使っているんだ。都市土木の場合,こういう現場が多いから騒音対策や粉塵対策などへの費用を結構かけているんだ。この現場もシールド立坑の上に建屋を建てて,騒音や粉塵が出ないようにしているんだ。それと,資材の搬入はラッシュ時を避けた昼間のみで,当然夜間の搬入はしていないんだ。現場の前の道路は,朝晩結構な交通量だし,一部スクールゾーンになっていて,小学生などが通学しているから,その時間帯は警備の人を増やしているよ。勝手に工事だけしているわけではないんだ。住民の方たちの理解があって初めて工事ができるんだ。それでもいろいろ苦情を言ってくる住民の方もいるけど,その苦情についてもちゃんと一つ一つ真摯に対応しているんだよ。そういうことをするのも建設会社の現場社員の務めなんだ。”と現場の事情を真理子に説明します。真理子は,そんな新巻の話を聞いて,私たちは技術を極めるだけでなくて,人とのコミュニケーションも磨いていかないと駄目なんだとあらためて認識しました。

この橋の向こう(新入社員編(トンネルグループ3))

 トンネルグループでの研修も残り僅かとなり,課長の計らいで現在工事が行われているシールドトンネルと山岳トンネルの2現場を見学させてもらうことになりました。真理子にとっては,工事中のトンネル現場を見るのは初めてだったので,楽しくてしようがないといったところです(この雰囲気を真理子の表情からうまく撮れればよいかなと思います)。見学は,都内のシールドトンネル現場と岩手でのトンネル現場に決まりました。シールドトンネルの現場は,日帰りで行けますが,山岳トンネルの方は盛岡から車で2時間ほどの場所にあり,とても日帰りは無理なので,現場での見学後に近くの宿で一泊することになりました。

 シールドトンネル工事は,最寄りの駅からバスで10分ほどの場所にあるので,新巻さんとは現場事務所前で落ち合うことになりました。真理子には,2つのトンネルの設計資料などが渡されて,しっかり予習しておくように課長から言われました。見学だからといって,遊びに行くわけではないのだから,どんな工事なのかをしっかり頭の中に叩きこんで,しっかり見てくるようにともいわれました。真理子自身もシールド工法についての資料を探して読んだり,山岳トンネルの工法であるNATM工法についていろいろ調べたりしました。設計部には,小さいながらも図書のような部屋があって,これまでの工事記録や関連書籍,雑誌などがあり,自由に閲覧できるので,真理子は時間が空いた時に足繁くそこに行って,調べたり,必要と思われるところをコピーしたりしました。その様子を新巻さんと課長が見ていて(どんな場面を見ているのかを設定するのは難しいですが,例えばフロアの端の方に図書区画があると設定して,そこにしょっちゅう真理子が行く後ろ姿を二人が見ているという場面設定でどうかなと思います),課長が“彼女は,どんなことにも精一杯打ち込むタイプだね。順調にいっている時は見ていなくても大丈夫だろうが,何かに躓いた時にどう対処するかだろうね。現場は,本に書いているようにはいかないし,設計通りなんて当然行かないわけだから,どれくらい臨機応変に対応できるか楽しみでもあるよ。今の子は,結構打たれ弱いし,まだまだ我々の業界は男社会で女子には結構きついところもあるから,彼女がそのあたりどれくらい打たれ強いか見ものだね。シールドの所長の飯田さんは,ソフトタッチな感じの人だから,特に厳しいことは言わないだろうけど,Tトンネル(岩手の山岳トンネル)の石田所長は厳しい人だから,結構きついこというと思うよ。それにあの名物工夫の笹沼さんがいる現場だから,女子を工事中のトンネルに入れるなんて何考えてるんだといって怒り狂うんじゃないかな。まあ,これも彼女にとっての通過儀礼のようなものだから,新巻君しっかりフォローしてやってくれよ。まだ,他の新人には直接会って話していないけれど,彼女結構見込みありそうなので,今回の見学をうまく乗り越えてくれれば,我がグループに来てもらえるように部長に話すつもりでいる。”と新巻にいいます。新巻も“彼女,結構芯が強い感じがするので,今のへなちょこ男子よりもよっぽど見込みありますよ。かく言う私も新入社員の時は,へなちょこで課長にしょっちゅう怒られて,一時本当に会社辞めようかと思ったくらいです。でも,そこで踏ん張れたのは,先輩社員の方たちから,皆そんなものだからすぐに慣れるよと言ってもらったからなんです。どこまでフォローできるか分かりませんが,励ましくらいはできると思いますよ。”と課長に笑いながら話ます。そんな話を二人がしているのも知らずに,資料を読み漁っている真理子の姿をアップで撮りたいと思います。最初の現場見学まで後3日です。

この橋の向こう(新入社員編(トンネルグループ2))

 トンネルグループに配属されてあっという間に1ヶ月が過ぎようとしています。グループ内の打合せの議事録作成は,あれから真理子の仕事になりました。最初の失敗から,それ以降打合せ内でのメモ取りも要点のみとして,打合せ終了後1時間以内に作成して,課長に確認してもらい,了承後にグループ内に配信するようにしました。最初は,先輩社員からいくつか訂正が入りましたが,その後はほとんどなくなり,OJT指導の新巻さんからも“こんなに早く議事録作成できるなんてなかなかできないことだよ。俺なんか課長に何度駄目出しされたことか覚えてないくらいだったよ。課長は,さっと読んで書き直しとしか言ってくれないから,何処を直してよいかわからないで,直さなくてもよいところまで直して,また書き直しという負のスパイラルに何度陥ったことか。真理子君は,要領もよいけれどみんながやっている仕事の内容を把握するのが早いと思うよ。先輩社員によく言われたけど,10聞いて7~8理解するのは当たり前で,それ以上になると見込みがあり,10聞いて半分も理解できないやつは,使い物にならないと判断される。日々のちょっとしたことでも他の人は結構見ているものなんだよ。後,指示されたことに対して,質問を返すのは入社して5年までだと言われたよ。その代わり,それまでは自分が納得するまでしつこい位に聞いたほうがよいよ。自分で勝手にわかったふりして,指示されたことと全然違うことをしてしまうというのが一番駄目なんだ。会社の場合,どんなことでも期限があって,それを守ることは最も重要なんだ。勝手な判断で違ったことをして,手戻りになったときそれをフォローするのは指示した上司や先輩社員なんだから。余計な仕事を増やされて良い気持ちになる人なんていないよ。それに,手戻り分の人件費だって馬鹿にならないんだから。他の仕事ができない分,会社に損失を与えることになるんだよ。入社して5年以上経っても質問ばかりするのは,全く仕事が分かっていないか能力がないと判断され,それこそルーチンの仕事しか渡されなくなる。新しい案件や事業計画なんて当然任されなくなる。そうなると,自分が能力ないくせに,なんで自分は他の人と同じような仕事が任せられないのかと上司に文句をいうのがたまにいるけど,大体君に合った仕事を任せてるじゃないかと言われて,そのままにされることが多い。そうなると,会社を辞めてしまうか,自分の能力を理解して,そのまま淡々と言われたことだけするようになるかどちらかになる。真理子君は,そんな社員にはならないと思うけれど,仕事に慣れてくると,気が緩むというか,適当にこなしてしまうことが多々あるんだ。そういう時に,とんでもない落とし穴に落ちることがある。よく”魔が差した“というじゃないか。まさにあれだよ。信頼を築くのには何年もかかるけれど,それを失うのは一瞬なんだ。僕から真理子君にいえることは,常に仕事に対して緊張感を持って臨むこと,指示されたこと以上の結果を10回に何回かは出せるように努力すること,そして一番大事なことは,仕事にメリハリを持つことなんだ。いつも100点満点を目指していたら,すぐに潰れてしまう。相手がどれくらいのレベルを求めているのか理解して,手を抜いてというか60点でよいものはそれ以上手を掛けないことだよ。その代わり100点を求められている時は死に物狂いでやらないといけない。真理子君は,これから何十年も働くことになるんだから,細く長く続けることを考えておくことだよ”と言われます(ちょっと長科白ですが)。真理子にとって,仕事に対する姿勢を教えられた思いがして,新巻に対してとても暖かい気持ちを持ちます。真理子は“いろいろ教えていただきありがとうございます。これからもご指導よろしくお願いします”と新巻に言います。新巻は少し照れながら“僕が教えることなんてたいしてないよ。真理子君が他の人からどんどん吸収していくことだよ。”と返答しながら“そうそう,もう一つ言っておくことがあった。怒られている間が花だよ。怒られなくなったら,一人前と認められたか,全然役立たずなのかのどちらかだよ。まあ,前者であればさっき言ったようにいろいろ新しい案件や仕事を黙って渡されるよ。”と言われました。真理子は,自分が役立たずのレッテル貼られないように頑張ろうという決意を持ちます(キリっとした真理子の横顔がアップで撮りたいところです)。

この橋の向こう(新入社員編(トンネルチーム))

 トンネルチームに配属になって1週間が経ちました。この1週間は計算書のコピーや計算結果の値のチェック(チェックの仕方を教えてもらい,それに従って行いました)をしたり,CADの練習と簡単な図面の作成などをしたりしていました。真理子にとっては,単純作業ばかりでちょっと退屈なものでしたが,自分がいままでやったことのない計算や作業が多かったので,黙々とそれらを行っていました。仕事は,定時前に終わってしまうので,そのまま定時で帰宅していました。先輩社員たちは,昼間は打合せや出張などでほとんど誰もいない状態で,課長と真理子だけがデスクに座って仕事しているという場面にしたいと思います。真理子が帰ろうとする定時の時間前になると,打合せや得意先など行っていた先輩社員たちが会社に戻ってきて,真理子が帰るのと入れ替わりに,自分のデスクで仕事を始めます。課長から“今週は皆大事な案件で飛び回っているので,君の歓迎会は来週あたりにするよ”と言われました。皆さん,大変だなと思いながら,何となく後ろ髪惹かれる想いで退社しました。友里恵も優子も似たり寄ったりで,大体三人で帰りにお茶して帰るのが日課になってきました。お茶をしながら,今日会社であったことや何処どこの部署の誰々さんがかっこよいとか,経理の何々さんは上司と不倫しているみたいという噂を聞いたなど他愛もない話をして(ちょっとおしゃれなカフェでの撮影ができればと思います。やはり青山や代官山辺りになるのですかね),友里恵と二人で寮に帰ります。寮に戻ってシャワーを浴びて,寮の食堂で夕飯をとります。食堂には,新入社員や事務の女子が数人いるくらいで,ほとんどの人はまだ会社にいて仕事しているという設定にしたいと思います。

 部屋に戻った真理子は,寝るまでの間語学の勉強をするのを日課にしているという設定にしたいと思います。国際会議で語学の大切さを身に染みて知った真理子であり,将来海外での仕事を是非したいと思っているので,今のうちにしっかり勉強しておこうと思い立ち,毎日数時間勉強をすることにしたのです。数年したら,仕事が忙しくてそんな時間もきっと取れないだろうから,できる時にやろうと決心したのです(この辺りの真面目な真理子の一面を出したいと思います)。

 次の週は,トンネルグループの内部打合せに一緒に出席するように課長から言われます。会議室に行くと,課長から“真理子君,打合せの議事録作成を頼みます”と言われます。真理子は,打合せでの皆の発言を一生懸命記録し,打合せ後にそれらをパソコンに打ち込んで,プリントアウトしたものを課長に持っていきました。すると課長がそれを受け取るや否や中身も読まずに“真理子君,打合せの内容を全部書いても仕方ないよ。打合せで決まったことを簡潔にまとめなさい。こんな長い議事録渡されても皆読まないよ”と言われました。真理子にとっては,その一言がとてもショックであり,自分の未熟さが恥ずかしくなりました。一言一句聞き漏らさないようにして取ったメモをそのまま打ち込んでも,確かにそれを読んで何が決まったか理解するのは,忙しい先輩社員たちにとって時間の無駄だということが全く分かっていませんでした。自分で,そのメモを何度も読み返して,議題に上がったことと,何が決まったのか,未決のものは何か整理して,用紙一枚にまとめて,再度課長に持っていきました。課長から,“今度はよく整理されているね。これからもこの調子で頼むよ”と言われました。結局,議事録作成に丸一日かけてしまった真理子は,課長からそういわれても素直に喜べませんでした(このあたりの表情がうまく撮れればと思います)。

ブックスキャロット

 毎月13日は,私が愛読している模型雑誌の発売日です。昨日は,午後から学会誌の取材で学外に出る予定だったので,現場に向かう途中にいつも購入している本屋さんであるブックスキャロットに寄ってから行こうと思いました。ブックスキャロットは,東小金井駅の北口側のロータリーの東側にあります。以前は,法政大学の前の通りで,ローソンの近くにあったのですが,十数年前に駅の近くに移転しました。ブックスキャロットに寄るので,少し早めに出て,ブックスキャロットに向かいました。店の近くに行くと,シャッターが閉まっていました。確か年中無休だったと思ったのですが,非常事態宣言も出ているので定休日でも設けたのかなと思い,店の前まで行くと貼紙がしてありました。“12月31日をもって閉店します”というものでした。その時,模型雑誌がブックスキャロットで買えないので,何処か別の本屋に行かないと行けないという思いと,来月から何処で購入したらよいのかという思いが頭の中を錯綜していました。貼紙には,24年間ありがとうございましたという文言もありました。私が大学に赴任してから20年ですから,赴任する少し前に以前の場所でお店を始めたことを知りました。このブックスキャロット,意外と品揃えが良くて(私の趣味関連の本が結構充実していました),模型雑誌だけでなく,歴史関係の雑誌や仏像関係の雑誌などもよく購入していました。定員さんは結構不愛想で,昨年コロナ禍で会計のところに間隔を空けて並んでいたのですが,前のお客さんの真後ろに立たずに少し横にずれて並んだら(間隔はちゃんと空けていました),“ちゃんと後ろに並んでください”と怒られたことがあります(三十代くらいの女性)。また,料金を支払う時も袋入りますかと言われたので,手を振っていらないと意思表示したのですが“いるんですか,いらないんですか”と怒られました。すごくツンデレの定員で,普通だったらこんな店で二度と買わないと思うのですが,東小金井界隈にはブックスキャロット以外ですと,T書店というのがコメダ珈琲店の向かい側にあるだけで,この店は私の趣味の本がほとんど置いていないので,全く利用していません。今後は,T書店で取り寄せしようかとも思ったのですが,取り寄せであれば生協に頼んだ方が楽ですし,1割引きで購入できるので,今後はそうしようかと思っています。それにしても,身近なところから街の本屋さんがなくなっていくのはとても寂しいものです(私の家の最寄り駅の西調布駅周辺も二十年以上前から本屋がありません)。時間があるときにフラッと立ち寄って面白そうな本などを探すのが結構好きだったのですが,またひとつそういう楽しみの場所がなくなってしまいました。今は,ネットで購入する人が増えているのかもしれませんが,本屋に行って思わぬ本の出会いという楽しみがネットでは体現できません。確かに家にいながら欲しい本が手元に届くのは便利なにのですが,本を購入するというのは,それだけではないような気がします。自分の目で見て,気に入って(ジャケ買いみたいなもの)購入して,その後その分野の本や作者にはまってしまうということがあります。私も“地球を継ぐもの”というジェームス・P・ホーガンの本をたまたま本屋で見かけて,ホーガンファンになってしまって,彼が出している本はほぼ全て(翻訳されたものですが)読みました。私の著書の“コンクリート崩壊”について,本屋でたまたま見かけて購入しましたという方が結構いました。私のようなものが書いた本は,ネットではまず引っかからないので,本屋で見かけて買ってもらったと言われた時はとても嬉しく思いました。