法政大学コンクリート材料研究室

法政大学コンクリートの活動報告

成績登録(後半)

  昨日の続きを書きたいと思います。

 当時の役所は,かなり格差社会というか資格社会(ある意味での能力社会)で,うわさで聞いた話なので,本当かどうか分かりませんが,国家公務員のトップである大蔵省(現在の財務省)は,キャリア組でも東大法学部出身でないと出世しないと言われたそうです。次に外務省,法務省などが続き,文科省労働省建設省はキャリア組でも下位の方だといわれました。真偽のほどは分かりませんが,国の予算というか金庫番の大蔵省が官僚のトップクラスというのは何となく頷けます。キャリア組でもこのようなヒエラルキーがあるのですから,ノンキャリで入ったら先は見えているといわれたら,確かにそうだと当時は思っていました。

 話があらぬ方向に行ってしまいました。当大学の科目自体はその後計画系の科目に次第にシフトしてきています。入学してくる学生の多くの指向として,それを望んでいるからかもしれません。日本全国だけでなく,世界を股にかけてビッグプロジェクトに関わりたいと思う学生自体が少なくなっているのも事実ですし,土木自体の人気もないことを考えると仕方ないのかもしれません。コンクリートだの土だのという時代ではないのかも知れませんが,土木の仕事の根幹はこれらを用いた土木工事であることを忘れてほしくないと思っています。

 さて,今年もコンクリート工学の成績を付ける時期となり,先日期末試験を行いました。今年度は,演習も科目に付いたので,毎回演習科目を行うとともに,春学期前半に中間試験(コンクリート材料に関する試験,今年度から建設材料学基礎が廃止され,コンクリート工学及演習に統合されました)を実施しています。対象学年は2年生なので,2年生は春学期前半から講義を受けています。昨年落とした3年生以上は旧カリキュラムなので,コンクリート材料を教える前半部分は受講しなくてもよいとしました(本音を言うと,昨年落としている学生のほとんどはコンクリート材料のことを知らないので,是非受講してもらいたいと思っていました)。コンクリート工学及演習の後半部分は,フレッシュコンクリート,硬化コンクリート,コンクリートの耐久性,照査方法,配合設計となり,コンクリートの基本をほぼ網羅する内容にしています。その分,学生にはボリュームが多いので,前半部分の講義回数を減らして後半部分を多くしました。また,演習問題も講義内容を網羅できるようなものとしました。

 期末試験の結果ですが,散々な結果となっています。2年生の多くは配合設計ができない状態でした(演習問題をすれば大丈夫かと思ったのですが,そもそも配合設計が何をするのかを理解していないようです)。それに輪をかけてひどかったのは3年生以上でした。3年生で前半から講義に出席している学生の多くは,中間,期末とも高得点でした。一方,後半しか受けていない学生は,心配していた通り,非常に出来が悪い学生が目立ちました。4年生も受けているのですが,こちらも結構惨憺たる結果でした。科目自体をなめているのか,何回受けても内容が理解できないのか分かりませんが,危機感というのがあまり感じられない解答でした(半分以上白紙で平気で提出しています)。材料設計自体は,ルールに則って行えばさほど難しいものではないのですが(配合設計は四則演算しか使わない),そのルールが理解できていなのかもしれません。また,設計行為は一つの項目を間違えるとその後の結果は全て間違ってきます。このこともちゃんと理解してもらいたいのですが,途中の部分をすっ飛ばして解答しようとしている学生が散見されました(どのようにしてその数値を導き出したのか皆目見当がつかないものが多くありました)。

 今回,ちょっと腹が立ったのは,期末試験が終わるや否や追試の日程は何時かと聞いてくる学生が何人もいたことです。追試を行う規定はないのですが,少しでもチャンスをあげられたらという厚意のもとボランティアで行っていることなど知らずに,当然のことのように言ってきたので,追試はしないと伝えました。もう一つ気になっているのは,講義で話している内容が有機的につながっていると理解していない学生が多数いることです。期末試験で個々の項目の知識を問う問題であればある程度解答できるのかもしれませんが,一つずつ順序だてて,決めていく(前項で得られた結果を基に次の項目を検討するようなこと)ことが多くの学生はできていません。したがって,私の出す問題が難しいだの自己満足の問題だと批判する学生も少なからずいます(単位落とした学生の多くが言います)。残念ながら,そういう学生には,問題解決能力を身に着けてもらうために何度でも挑戦してもらったらよいと思っています。

 来年も多くの再履修学生を受け入れることになりそうです。たかがコンクリート,されどコンクリートです。