法政大学コンクリート材料研究室

法政大学コンクリートの活動報告

特殊水中コンクリート

 1987年から2年弱の間,ゼネコン(K社,T社,O社,M社,H社,Ku社)と混和剤メーカ(S化学とP社)の各社から各1名の若手社員が富士の建設機械化研究所に集合し,特殊水中コンクリートの大規模実験のための準備のお手伝いをしました(まあ,実験のための作業員といったところです)。具体的には,実験に用いる配合の選定などを建設機械化研究所の職員の方たち(担当は3人ほどでとてもすべてを行うことができなかったので,その補助として私たちが呼ばれたのです)と一緒に行いました。集まったメンバーは,皆20代(だったと思います。ほとんど年齢が近かったと記憶しています)で,研究所の近くの安宿に泊まって,5人(メーカの人は別だったような気がします)での共同生活を行いました。1回の出張が大体1週間程度なので,洗濯はしなかったと思います(昼間は作業着で,宿に戻ったら部屋着を着て,そのまま寝ていたと思います)。作業員相手の宿だったので,朝と晩は結構ボリュームのある食事が出たと思います。宿代も食事込みで結構安くて,出張に行く度にお金が貯まりました(当時,宿泊費は定額支給で,日当ももらえたので,差額だけで結構貯まりました)。富士への往来は,当初新幹線と在来線を使っていました(新富士駅がちょうど開業する前後だったと思います)。新富士駅ができる前にも行っているので,その時は三島から在来線に乗り換えて富士駅まで行っていましたが,途中から東京駅から富士ICまでの高速バスがあることを知って,ほとんどそちらを利用していました。出張旅費の差額が少し貯まると,他のメンバーと一緒に歩いて20分くらいのところにある吉原という駅(宿から富士駅は遠かったので)の近くの商店街の中の居酒屋で飲んだことが何回かありました。

 最初のうちは材料準備や練り混ぜ等があって結構忙しかったのですが,途中から強度試験と型枠清掃くらいになって,結構暇を持て余していました。そんな時は,試験練りに使用したミキサについたコンクリートをハンマと鏨で落とす作業を行っていました。特殊水中コンクリート(現在の水中不分離性コンクリート)は粘性が高いので,洗うだけではなかなか落ちなくて,水平二軸の強制練りミキサの軸やはねの裏側,ゲート周りに結構残ってしまいます。それを日がな一日トンテンカンテンやりながらきれいにしました。これは,後でわかったのですが,ミキサの清掃に合わせて,グリスアップも行ったのですが,軸周りに染み出したグリスで,練り混ぜたコンクリートの空気量が全く入らなくなり,スランプフローの経時変化にばらつきが生じてしまいました。最初,同じ配合で計量も同じなのにあまりにばらつくので,どうしてそうなるのか全く分からず,高性能減水剤が古いとか,特殊混和剤(水中不分離性混和剤)が他の材料と相性が悪いのではないかといろいろ原因を考えてやり直したのですが,全く改善されませんでした。ある時,水洗いの後グリスアップしないまま翌日練り混ぜを行ったところ空気量も所定どおりであったことから,グリスが原因ではないかということになり,グリスアップした後軸周りなどに染み出したものをきれいにふき取るようにしてからは,安定した試験結果を得られるようになりました。一旦わかると大したことではないのですが,それまではこのまま実験ができなくなってしまうのではないかと心配でなりませんでした。次回は,建設機械化研究所で行った大規模実験について書くことにします。