法政大学コンクリート材料研究室

法政大学コンクリートの活動報告

紙鑑定士の事件ファイル

 今日は,最近読んだ本で私のワクワク度ど真ん中だった本の紹介について少し書くことにします。

 タイトルにある“紙鑑定士の事件ファイル(著者:歌田年,発行所:(株)宝島社)”は,第18回「このミステリーがすごい!」で大賞を受賞した作品です。元々ミステリーものは好きで,学生時代は赤川次郎さんの三毛猫ホームズシリーズにはまって,ほとんど読んだと思います(最近刊行されたものは読んでいません)。ここ数年は,結構固い本(専門書)ばかり読んでいて,気軽に手に取れるSF本やミステリー本を読んでいませんでした。この本を知ったキッカケは,以前少しだけご紹介した“ゴム動力プラ子”さんのFSで紹介されていたのを見て購入したものです。紹介は,今年の1月(出版直後)で,その後AMAZONで購入していたのですが,なかなか読む機会がなくて(市ヶ谷に行く電車で本を読むのですが,3月以降ほとんど市ヶ谷には行っていないので,この手の本を読む時間が激減してしまったため),先日ようやく読むことができました。読み始めたら,めちゃくちゃ面白くて一気に読んでしまいました(あくまでもプラモファン,ミニチュアハウスファンの目から見て)。ミステリー好きな人にもお勧めですが,最初に出てくる話が戦車を使ったディオラマ(ジオラマというのが一般的ですが,英語の発音ではダイオラマとなります)に関わる依頼(紙鑑定士のところに探偵事務所と間違って浮気調査を依頼してきた)から始まるので,プラモデルに興味のない方はちょっと引くかもしれません。この依頼で,出版業界のツテから伝説のプロモデラーに行きつくのですが,そのモデラーである土生井は実在の人をモチーフにしているところが垣間見えます。そのモデラーの話から,依頼された調査を見事解決するのですが,ディオラマの説明ではプラモファンの心を擽る話が随所に出てきます。

 この依頼をきっかけに,次の依頼ではミニチュアハウスが関わってきます。ここでも,葉田というミニチュアドールハウスのプロの製作者が登場しますが,ドールハウスでは超有名なH氏をモチーフにしています。この二つ目の依頼は,殺人事件,その後大量殺人の話へと展開していくのですが,ミニチュアハウスや船の模型,飛行機の模型などプラモメーカの名前などが国内外問わずどんどん出てきて,読みながら思わず頷いている自分がいました。本の語り口は,初期の三毛猫ホームズシリーズとなんとなく似ていて,それも自分の中のドストライクな本になったのかもしれません。

 最後の方は,ちょっと辻褄合わせ的なところはありますが,ミステリーものをちょっと読みたい人にはお勧めの本です。こんな本私も書けたらよいのですが,コンクリートに関わるミステリーですと,コンクリート詰め殺人事件のような陰惨なものになってしまいそうで,ライトミステリーは書けそうにありません(当然,そんな依頼はありませんが)。

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紙鑑定士の事件ファイル