法政大学コンクリート材料研究室

法政大学コンクリートの活動報告

工事現場のラビリンス(副都心線 渋谷駅工事)

 今日は,昨日に引き続き13号線の工事取材について書きます。渋谷~池袋間の13号線副都心線)の工事の一方の始発駅となる渋谷駅は,半蔵門線や銀座線と重なるように(クロスするように)建設されていました。いつものようにヘルメットとトラチョッキを着けて半蔵門駅の脇の入口から工事現場に入っていったのですが,工事事務所から入口まで,一般の乗降客と混じって渋谷の地下を歩いていきました。背広姿やOLさんたちの脇をヘルメット,トラチョッキ姿のおじさんたちがぞろぞろ歩いているのもなかなかシュールな情景だったと思います。

 入口を入ると,そこは地下のラビリンスのようで,狭い通路を右に曲がったり,左に曲がったりするだけでなく,少し上ったと思ったらまた下がるといった具合で,自分がどこにいるのかさえ分からなくなるくらいでした。また,シートが貼られているすぐ隣を人が歩いている声が聞こえたり(駅のコンコースの隣を歩いていたことになります),壁一枚横を地下鉄(半蔵門線)が走っていたりといった具合で,よくこんなところで工事ができるものだと感心しながら歩いていました。ようやく13号線の渋谷駅になるところに到着すると,そこにはまだ階段やエスカレータがないただの斜路があったり,駅のホームの床版がないコンクリートの柱・梁だけの場所があったりと出来かけの駅がありました。

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造りかけの階段とエスカレータ(コンクリートの斜路だけ)

 その周辺には,多くのむき出しの管が所狭しと通っていました。下水管,水道管,ガス管などのライフラインが天井から吊り下げられていました。よくこんなものを掘り出したものだと変なところで感心している自分がいました。私がメトロの方とこのライフラインの事を話していると,突然モリナガさんが「そんなにいろいろな遺跡が渋谷から見つかったのですか。」と聞いたものですから,担当者の方と顔を見合わせて思わず笑ってしまいました。

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水道管,下水管,ガス管などのライフラインが吊り下げられている様子

 地上近くまで上がってくると覆工板の隙間から光が差して,車や人が行き交う音が聞こえてきました。そして,地上に上がるとそこは,渋谷の明治通りのど真ん中でした。いつの間にこんなところまで来たのかと思うほどでした。まさに,地下のラビリンスといえる工事現場でした。

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地上に出ると渋谷の明治通りのど真ん中でした!

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楕円形シールドの前で記念写真(左から土木学会のN課長,私,モリナガさん)

 そういえば,現場の取材の途中で,半蔵門線が露出した(コンクリートのボックス状)場所があり,半蔵門線の真下を潜ることができました。当然,柱で支えられているのでが,地下鉄が通る度にゴゴーという音と振動が伝わってきて,実際に手の届くすぐ上を地下鉄が走っているのを実感することができました。渋谷駅の工事は,見どころ満載といった感じでした。昨日の雑司ヶ谷から池袋までのシールドトンネルの工事自体は,同じ断面でずっと掘っていくだけなので,絵になりにくいのは仕方ないですが,これだけ差があると(土木学会誌のバックナンバーを見ていただくと分かります),池袋の方の所長さんに申し訳ないような感じがしてしまいました。シールド断面と言えば,この13号線のシールド断面は楕円形をしています。掘削面積を少しでも少なくするためだそうです。僅かな差のように思われるかもしれませんが,掘削手間,排出手間,処理手間を考えると工期,費用で大きな差が生じることになります。まさに塵も積もればといったところでしょうか。

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半蔵門線がむき出しになっているところ(この下を潜りました)