法政大学コンクリート材料研究室

法政大学コンクリートの活動報告

土木の人気度

 土木学会誌の特集号の企画が通ったので,早速原稿の執筆依頼やアンケートの協力依頼,インタビューの候補選び等を始めました。最初のインタビューは週刊ダイヤモンドの副編集長(当時,現在は編集長)のF氏でした。地下鉄の明治神宮前の駅を出て,通り沿いの大きなビルがダイヤモンド社の本社で何階だったか忘れましたが,大きな会議室でインタビューを行いました。以下にインタビューした内容の抜粋を紹介します。

 

 『週刊ダイヤモンド』では,定期的に職業ランキングなどの特集を組まれているので,建設業全体がどの程度の人気度があるのか,きっと把握されていると思い,まずはそのあたりから聞いてみました。F氏はその問いかけに対して,まず開口一番建設業界は部数が読める業界ですと答えられました。建設業に関わっている人数が多いこともあるのですが,週刊ダイヤモンドの読者層が,大手企業の中間管理職,中小企業の経営者,公務員であり,業種としては土木・建築業界が多いということもあるとのことでした。ただし,2007年前後での特集では「ゼネコン自滅」や「ゼネコン最終戦争」等といった非常に暗いタイトルのものばかりとなっているそうです。ということは,建設業自体がかなり厳しい業界と言えるのではないかということです。世間一般もそういう目で見ているというのも事実です。

 週刊ダイヤモンドでは,学生向けの就職企業ラインキングなども年に数回行っています。学生さんたちは世の中の流れに敏感ですので,人気度を直接測るよい指標と言えます。建設業は,当然ながらランキングの上位にはここずっと入っていないとのことでした。インタビュー当時は,学生自体の理系離れが進み,製造業も含めたものづくり離れが進んでいた時期でもあったので致し方ないところもありますが,話を聞いているとお先真っ暗といった感じでした。

 では,学生に対してどのようなことをすれば建設業というか土木に興味を持ってもらえるのかをお聞きしたところ,F氏は少子社会という特集で内田樹氏に著書である『下流志向』についてインタビューしたところ,子供が初めて社会との接点を持つ機会が,昔は家庭内の手伝いなどの“労働”であったのに対して,現在では“消費”から始まっているということを言われたそうです。テレビ番組などでも初めてのお使いというのがありますが,3歳頃のまだ幼稚園にも通っていない幼児が,自分でお金を持って買い物に行くというのがあります。お父さんやお母さんと一緒に買い物に行く場合もそうですが,お金を出せば極端な話なんでも買えてしまうというのを体感することになります。つまり,お金の持つ全能感を覚えてしまうことになるのです。お金さえ持っていれば,大人でも子供でも同じサービスを受けられ,同じ物が買える。しかも店員(大人)が「ありがとうございました」と深々と頭を下げてくれるのです。これが刷り込みとなって後々の人生観まで変えてしまうことになるのです。

 話の途中ですが,そろそろ出かけなければならないので,この続きはまた明日書こうと思います。