法政大学コンクリート材料研究室

法政大学コンクリートの活動報告

土木関係者の話(コラム)

 私が土木学会誌の編集委員をしていた時に最初で最後の特集号の主査をした時,以前書いたようにそのタイトルが”あなたの子供を土木技術者にしたいですか!お父さん,お母さん”でした。土木技術者をいろいろな角度から見てみたいと思って立案した企画でした。特集内容のいくつかはこれまでに紹介してきました。今日は,土木関係者(親が土木技術者,ご主人が土木技術者,外国から大学の土木工学科に来られている留学生,建設会社のフレッシュマン(当事者ですが,つい最近まで関係者だった人))に簡単なコラムを書いてもらいました。そのいくつかを紹介したいと思います。

・親御さんが土木技術者(土木技術者の子供)

 当時小学生5年生: お父さんは土木の仕事をしていろんな人のやくにたっていてすごいと思う。お父さんの話を聞いたりして土木は,とても大事な事がよくわかった。だからこれからも,土木の仕事を続けてね。

 当時中学1年生: そろばんの迎え来ない。バスケの大会を見に来てくれない。一般公開のことについてよくわかって勉強になる。出張について行ける。

 当時大学生: 私はおそらく呼吸をするように土木に関する情報に触れている,ということにごく最近気がついた。両親が土木技術者だからだ。自分の専門はかけ離れているためその本当の意義は正直まだ良く分からない。いつか社会に出たとき,母のよく言う「あなたは横浜のあの橋と同じときに生まれた」の科白(セリフ)を誇れるようになれたら幸せだ。

 コラムを書いてもらったのが2007年の6月で今から13年前ですから,当時小学5年生だったお子さんも今は社会人になっていることになります。コラムを書いてくれた子で土木技術者になったかどうか追跡調査していませんが,きっとご両親の仕事には誇りを持っていてくれていると思っています。実は,大学生の子のコラムの中の科白から今ブログで書いている”この橋の向こう”のイメージが涌いてきたのです。

・フレッシュマンの場合(2007年4月入社)

 建設会社S: 中学生の頃,近所の道路・歩道・街路樹がきれいに整備される様子を見て,興奮と感動を覚えたことが土木を一生の仕事に選ぶきっかけでした。将来,土木技術者の仕事の魅力を素直に心の内から語れる人になりたいです。

 建設会社K: 土木の世界に興味を持つようになったのは,土木技術者である父の仕事場の姿を見てからでした。そして,「ものづくりがしたい」その一心で飛び込んだこの業界で,私は世界と戦える土木技術者を目指しています。

 建設会社に入社した二人のフレッシュマンも現在は,13年目のベテランになっているわけです。ここで書いてくれたようなことを実践していることを願うばかりです。

 こういう土木関係者のコラムを読み返してみると,土木も満更捨てたものじゃないと思えてきます。現在,土木を学んでいる学生たち(特に私の研究室の学生たち)が社会に出てからも胸を張って土木のことを語ってもらいたいと思っています。