法政大学コンクリート材料研究室

法政大学コンクリートの活動報告

この橋の向こう(同期会)

 小見山と友里恵が二人で話をした後,“折角だから,設計部の新入社員で同期会やることにしない。土木の男子と建築の女子,事務の子たちも呼んでやろうよ”と友里恵が真理子と優子に話します。小見山も建築の他の三人に話をします。真理子は,これから長い付き合いにもなるので,同期同士での集まりは賛成である旨を友里恵に伝えます。優子はどっちでもよいというような顔つきながら,言葉の端々や表情に参加しますという雰囲気を醸し出してもらいます。幹事は,言い出しっぺの小見山と友里恵がすることになり,他の同期に声掛けすることになりました。

 1週間後,新宿の居酒屋で同期会が行われました。当日用事で行かれないという事務の女子1人を除いて,総勢15名が集まっての同期会となりました。女子6名,男子9名でワイワイガヤガヤの飲み会となりました。会が始まってしばらくして,小見山が“それでは,各自自己紹介していってください”と言って,小見山の席の隣の友里恵から順番に時計回りで自己紹介をしていきました。半分以上が地方出身者で,優子や事務の女子2人,男子社員2人が東京出身で,他は北海道から九州まで散らばっていましたが,ほとんどが関東の大学出身者でした。事務の女子を除いて,学部卒で入ってきたのは,土木で2人,建築で1人だけで他は大学院出でした。真理子は,土木の男子社員と建築の男子社員を見比べながら,心の中で“建築の子の方が洗練された感じで,土木の子の方が何となく野暮ったい感じがする。でも,建築の子たちは皆線が細そうな感じで,現場出たら一発で辞めてしまいそうな感じがする。土木の子たちは,上司に怒鳴られようが,作業員に追いかけまわされようが,全然気にしないでやっていく野太さが感じられる。こんなところにも,土木と建築の違いがあるんだ。”とつぶやきます(映画では,当然音声として流れます)。真理子が男子社員の方をじっと見ている姿を目ざとく見つけた優子が“何男の品定めしているのよ。まさかこの中の子と付き合おうなんて考えているんじゃないでしょうね”と真理子に詰め寄ります。真理子は首を横に振りながら“別にそんなこと思っていないよ。傍から見たら,建築と土木なんて同じに見えるかもしれないけれど,こうして一緒にいるところをみると,建築と土木の子って全然違うなって思ってみていただけよ。優子もそう思わない。”と優子に言います。“そうかな。私には同類に見えるけど”と優子がいいます。そこに友里恵が会話に割り込んできて,“二人で何話しているの。男子の品定めでもしているの”と言います。それを聞いた二人が思わず吹き出してしまいます。“何がおかしいのよ。あー,図星だったんだ”というと,真理子がすかさず“友里恵と優子って,全然性格違うけれど,考えることは一緒なんだ”と大笑いします。他の同期が,いきなり真理子が笑い出したのを見て,何がそんなにおかしいんだという顔で一斉に真理子の方を見ます。急に,自分に視線が集まって,気恥ずかしくなった真理子が“ちょっとトイレ行ってくる”と席を立ちます。その様子をじっと目線で追う男子社員が一人いました。土木の設計部に配属になった三浦です。実は,新人研修の時から,真理子のことが気になっていたのです。新入社員研修の時は,一度も声をかけられないままだったので,今夜の同期会で声かけようと思っていたのに,なかなかそのチャンスがありませんでした。真理子がトイレに立ったのをみて,自分もトイレに行くことにして,真理子の後を追います。それをじっと見ていたのが,優子でした。続きは,また別の機会で書くことにします。