法政大学コンクリート材料研究室

法政大学コンクリートの活動報告

この橋の向こう(社会人編,職場)

 新入社員研修後の休暇も終り,いよいよ真理子の社会人生活が始まります。本社の設計部から30分ほど離れた場所に女子寮(借り上げアパート)があり,真理子はそこに入寮して,先輩や同期(設計部には真理子の他2人の女性の新入社員が配属され,一人は自宅からもう一人の由利恵は地方出身ということで真理子と同じ寮に入っているという設定とします)と一緒の寮生活を送ることになりました。寮には,本社の他部署(建築設計や設備系,営業などで地方出身者は同じ寮に入っていることとします)の女子社員も一緒に生活しています。寮には,新入社員だけで10人以上いることとします。寮自体は,結婚や転勤などで結構入れ替わりが激しく,5年目までの先輩社員(5年以上経過すると特別な理由がない限り寮から出されるシステムとなっているという設定)は,全部で20名程度います。

 借り上げのアパートといっても食堂もあり,朝食と夕食は会社からの補助もあり安く食べることができます。真理子は,朝一番で食堂に行って食事をし,6時30分過ぎには寮を出ることにしました。そして,7時30分までには会社に到着し,若手の中で一番早く会社にいくことにしました。満員電車に乗るのが嫌だという理由もあるのですが,大学の研究室でも朝早く行って研究を始めるのが好きであり,静かな環境で研究が進んだことと,社会人たるもの,特に新入社員は先輩社員よりもいち早く出社するのが暗黙のルールであることを先輩社員から聞いていたこともあったためです。

 会社に初出社した日は,まだ勝手がわからず7時過ぎに着いてしまい,どうやって部屋に入るのかもわからず廊下で立っていると,設計部の部長が出社してきて”君は私の部署の新入社員の瀬川君だね。またえらく早く出社したものだね。まだ入室カードももらっていなくてどうやって入るつもりだったのかね”と言われました。真理子も会社に行けば何とかなると思っていたので,部長にいわれるまではあまり気にもしていませんでした。”先輩からは,新入社員は一番に会社に行くようにしなさいと言われたので,特に考えもしないで来てしまいました。”と答えると,”なかなか良い心がけだと思うよ。最近の若い社員は,重役出勤のように平気で遅刻してくるのが結構いるからね。どうも学生気分が抜けないのが多くて困るよ。”と言われました。そういえば,同期2人が来ていないことにその時になって真理子は気付きます。由利恵とは昨日の晩も朝一番で行くことを話していたにも関わらず,自分のことで精いっぱいで由利恵のことをすっかり忘れていました。由利恵はというと,朝目覚ましで起きたものの,昔から朝が弱く,そのまま寝てしまい遅刻ギリギリで出社してきました。自宅から通う優子は,定時の20分前に悠然と出社してきました。三者三様の新入社員の姿に部長を始め,他の社員たちも毎年のことながら苦笑して眺めていました。設計部自体の新入社員は男子社員,事務関係も含めて15名いました(多くの社員は,最初の3~5年程度設計部で設計のいろはを学んでから,現場などに出ていくという会社の方針がありました)。

 午前中は,いろいろな事務手続きについてのガイダンスなどがあり,午後は本社の他部署などを見学して,自分の席に戻ったのは16時過ぎでした。真理子は,トンネルの設計チームに配属され(1年程度かけて橋梁,地下構造物,原子力,港湾関係,造成などの設計部門の各チームに2ヶ月程度で回りながらいろいろ仕事を覚えていくというシステム),チームリーダー始めチームのメンバーの紹介を受けました。

 真理子の初仕事などはまた次の機会に書きたいと思います。