法政大学コンクリート材料研究室

法政大学コンクリートの活動報告

土木学会誌への新しい企画の提案

 土木学会誌の編集委員になって1年ほど過ぎた時,編集委員会の幹事長だった当時東京工業大学のF教授(現在は京都大学の教授で,日本強靭化計画で有名な先生)が,学会誌の新しい企画を委員から募っておられたので,前々から考えていた土木現場を写真ではなくイラストで紹介する企画を提案しました。

 私自身,土木学会誌の編集委員になる前は学会誌自体ほとんど読んでいませんでした。また,前職の建設会社の研究所時代は封も開けずにそのまま捨てていました。あまりに範囲が広くて自分の関心のある記事がほとんど載っていなかったためです。学会誌送ってこなくてよいから,その分年会費安くしてほしいと本気で思っていました(まだ若いころで,いくつもの学会の年会費を払うのが結構きつかったのと,学会誌は部屋で回覧されていたので,自分用というのは特に必要なかったのです)。

 少し話が逸れますが,研究所に勤務していた時土木学会のコンクリート標準示方書の改訂があって,その講習会に研究室から一人参加することになりました。確か1991年の改訂の時だったと思います。若いのの勉強になるからということで私が行くことになりました。部屋の上司から,研究室用に1セット購入してきてもらいたいと言われ,会社の費用で支払うということで,2万円くらいしたと思いますが,重い思いをして(1セットですと設計編,施工編,ダム編,道路編,規準編があったと思います),持って帰って(このセットとは別に施工編をその時購入しました)領収書を部長室(当時の幹部部屋)の事務に提出しました。2~3日して,当時のN次長がすごい剣幕で部屋に入ってきて“コンクリート標準示方書は我々の飯のタネだぞ。当然,自分で購入して勉強すべき本を会社に買わせるとは何事か”と私を怒鳴りつけました。一瞬何のことかわからなかったのですが,2,3日前に出した領収書の件だと分かり,“研究室用に1セット買ってきてもらいたいと頼まれたので,買ってきたまでです。自分用には施工編を買ってきました。”と言い返したのが気にくわなかったのか,“示方書は1セット購入しないと意味がない”とさらに強い剣幕で怒鳴りつけてきました。私はただ頼まれただけなので,N次長の理不尽さにこちらも熱くなって“自分で必要だと思うものはちゃんと買っているし,何故私が欲しくもないものを高額で購入しなければならないのですか。毎日使うものではないのだし,部屋に一冊あれば十分でしょ”と喧嘩腰で言い返しました。N次長は若造が何を言うかという顔で睨みつけてきました。さすがに手までは飛んできませんでしたが,一発触発の状態でした。私に頼んだ上司が,これはまずいと思ったのか“私が頼んだのですから,1セット私が購入します”と言われて,N次長は憤懣やるせない状態ながらも渋々部長室の方に戻っていきました。

 上司から“へんなこと頼んで悪かったな”と言われましたが,今度はこっちの気持ちが収まりません。それでも,こちらで立て替えた分は返してもらわないと困るので,上司にN次長が置いていった領収書を渡して,代金をもらいました。このN次長とはその後もいろいろあったのですが,そのあたりはまた別の機会に書きたいと思います。

 話を戻して,多くの会員は私と同じように学会誌をほとんど読まないか,そのままゴミ箱へ捨ててしまっているのは編集委員になってあまりに悲しいので(自分自身結構我がままというかいい加減なのですが),どうしたら会員の方たちに学会誌を読んでもらえるのかと考えていました。そういえば,新聞も隅から隅まで普段ほとんど読んでいないけれど,社会欄,テレビ欄,スポーツ欄と四コマ漫画だけは欠かさず目を通しているんだから,まずは毎月くる学会誌で必ず読むようなお目当ての記事を出したらよいと思いました。大体の人は新聞で四コマ漫画は見ていると思うので,同じように固い学会誌の中に,ちょっと軟らかい記事を造ろうと思ったのです。それには,文字でなくイラストのような絵がよいと思ったのです。

 今日はここまでとします。明日は,どんな提案を編集委員会に提出したか書きたいと思います。