法政大学コンクリート材料研究室

法政大学コンクリートの活動報告

大橋ジャンクション

 モリナガさんとコンビを組んで土木の工事現場をイラストで紹介するのも4回目となると,だいぶお互い要領がわかってきて,現場の取材もモリナガさんの興味がありそうな箇所でできるだけ立ち止まれるようにするため,そのような場所に近づくと私が案内役の方に質問をし,立ち止まって説明をしてもらうように促して時間稼ぎするようにしました(副都心線の無言でのハイキングのような移動からの経験です)。

 4つめの現場は,2007年の2月に首都高の大橋ジャンクションに行きました。東急田園都市線の池尻大橋の駅を降りて地上にでて少し渋谷方面に歩いていくと,巨大な壁のようなものが見えてきました。近づくとローマのコロッセオのようなコンクリートでできた楕円形の一部がそそり立っていました(表面に模様があって,上の方には窓のような凹みもありました)。

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造りかけの大橋ジャンクション

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壁面には石の彫刻のような模様があった

 いつものように事務所で簡単な説明を受けて,ヘルメットを被って(今回はトラチョッキ着ませんでした)早速現場に向かいました。完成すると陸上競技場のトラックのようにぐるり回れるのですが,取材した時はまだ1/4ほどしかできていなくて,構造物の両側に大きな開口部があって,まさに作りかけ感半端ないものでした。モリナガさんは,一層ごとに建設して積み上げていくイメージがあったようで(道路の線形に沿って順番にロールさせながら建設していく),そのような施工の仕方だと非常に非効率になるので,ブロック施工していくんですとその場で説明したと思います。

 イラストができた後,モリナガさんにお会いしたら,“土木現場の仕事をしていて,痛感するのは構造物自体ほとんど見えなくて,ただひたすら足場ばかり描くことです”と言われたのがとても印象的敵でした。普段現場を見慣れている者にとって,それは当然だと思っていたのですが,改めて絵を見ると半端ない足場の量が細かく描かれているのにちょっとびっくりしました。これは,イラストレータ泣かせだなと思いました。実は,この後他の現場などで,クレーンなどのトラス構造をまた山のように描くことになり,工事現場は足場とトラスばかりですとぼやいておられたのを思い出しました。

 屋上に上がって私は周りの景色を眺めていたのですが,モリナガさんは作業員さんたちが型枠を脱型している作業を興味深そうに一生懸命眺めておられて,またもやモリナガさんの見る視点が我々と違うことに感心しました(我々土木屋にとっては極見慣れた作業風景なのですが,一般の人にはとても面白い光景に見えるようです)。

 屋上から順番に下に降りて行くったのですが,降りていく途中で車道を歩いていると,結構カント(道路の横断勾配)があって,そこを歩くのが結構大変だということを体感しました(車だとこの勾配はほとんど感じない)。完成するとまず歩けないところを歩けたのもとても面白かったのを覚えています。

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ジャンクションの内部は横断勾配,縦断勾配とも結構ある!

 取材を終わって,池尻大橋に向かう途中,ジャンクションと一般民家が非常に接近(後に取り壊されるのですが)しているのが,とても印象的でした。

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ジャンクションと民家が結構接近している