法政大学コンクリート材料研究室

法政大学コンクリートの活動報告

研究室の感染予防対策

 今年の卒業研究は,コロナ禍の影響で例年に比べて2ヶ月ほど遅れてのスタートとなりました。コンクリートの場合,供試体作製してから,硬化して実験できるまでに最低でも1ヶ月は待たないといけない場合が多いので,通常は,年度初め(3月もしくは4月)に測定期間を考えて年間工程を立案し,供試体の作製を行います。学部生の場合には,翌年の1月末から2月初めに卒論審査会があるので,それまでに卒論自体を取りまとめなくてはならず,実験や解析のとりまとめは年内くらいまでに終わらせないと,審査会までに仕上がらなくなってしまいます。もちろん,私のチェックも入るので,試験や解析自体はその前に終わらせていないといけなくなるので,できるだけ測定期間を長くとることを考えると最初の2ヶ月のスタート遅れは研究自体に大きな支障をきたすことになります。

 そうはいっても,5月末まで入構制限があり,実験などを行える状況ではありませんでした。6月に入ってようやく実験・解析を研究室で行えるようになり,急に研究室内が密の状態になりました。実験室,研究室,分析室と別れて行っているので,ギュウギュウ詰めというわけではないのですが,隣同士の間隔はとてもソーシャルディスタンスを確保できているとは言えない状況でした。

 そんな状況に対して,我が研究室の大学院生3人(以前紹介しましたコンクリートエンジェルたち)が,コンクリート研究室ならではのパーティションを作製してくれました。

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コンクリート研究室のエンジェルたち

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我が研究室のオリジナル完成予防用シート

 写真に見える透明のスクリーンは,封緘養生用のシートを使っています。当初透明アクリルの購入も考えたのですが,結構高くて少ない研究予算を使うのも憚られたので,実験で使用している透明な素材を探し出してきたものです。封緘養生用のシートは,ロールで毎年購入しているので,結構な量があり,比較的安いこともあって,これを利用したようです。このシートを張るために両側に支柱というかポールが必要です。そのポールとして利用したのが実験で余った鉄筋です。また,ポールを建てるための基礎はΦ150mm×高さ300mmのコンクリート円柱供試体で,真ん中に鉄筋を刺して,実験で余ったコンクリートで作製しました。中間にも支柱が必要だったので,これはΦ100mm×高さ200mmのコンクリート供試体で作製しています。各机を仕切るシートを張るための衝立の板は,供試体作製時の型枠の残材を利用しています。衝立の基礎は,4cm×4cm×16cmのモルタル供試体用型枠に板を差し込んで,これも実験で余ったコンクリートで作製しています。ちょっとした工夫で,費用をほとんどかけずに立派な飛散防止用のシートができました。彼女たちの創意工夫が光っており,コンクリート研究室ならではのオリジナル商品と言えます。本当に彼女たちの発想は素晴らしいものです。楽しい研究生活を送るというのは,こういうものから生まれるのではないかと思います。これで,学部生たちも心置きなく卒業研究に励めるというものです。