法政大学コンクリート材料研究室

法政大学コンクリートの活動報告

パリの生活(その10)

 今回のコロナ禍がなければ,8月26日~28日までパリのIFSTTARでFibのphDシンポジウムに参加する予定でした。今頃は,パリで美味しいもの食べていたかなと思うと残念でなりません。今回はweb(オンライン)での開催なのですが,現地に行けないのであれば参加する意欲も涌かないので,参加を断念しました。来年,仕切り直しがあるようなので,新型コロナが収まっていれば行こうと思っていますが,どうなるかは全く不透明な状況です。Fibの本会議は,来年ポルトガルリスボンであるので,こちらもコロナ禍が収まっていれば是非行きたいと思っています。

 さて,パリの話題がでましたので,久々にパリでの生活のことを書きたいと思います。前回は,アパルトメントでの生活を開始して初めての週末に,工具の買い出しなどをした話を書きました。今日は,その週明けからの話を書きたいと思います。月曜日は6時前に起きて朝食の準備,食事をして7時過ぎにアパルトメントを出ました。リオン駅まで歩いて行って,そこからNoisy ChampsまでRERに乗って,8時過ぎにIFSTTARに到着しました。午前中はメールを読んだり,返信したりしていました。日本の委員会で,ちょっとトラブルがありその対応のためのメールのやり取りでほとんど午前中が終わってしまいました。11時30分過ぎに昼食を食べに行きました(段々日本での生活パターンに近づいてきました)。12時~13時お昼寝できる場所がないので,椅子に座ってウトウトするくらいしかできませんでした(数日後,使っていない椅子を足置きにして,椅子2脚で何とかお昼寝できる場所を確保しました)。午後は,渡されたDEF(Delayed Ettringite Formation)に関する文献を読んだりしていました。DEFというのはコンクリートの劣化現象のひとつで,日本語では遅延型エトリンガイト生成等といわれています。コンクリート打込み後の若材齢時にセメントの水和発熱等によって高温(70℃~90℃)に晒されると,水和時に生成されたエトリンガイトが分解されてしまいます。しかしながら,その後硫酸塩及び湿潤に近い状態(もしくは十分な水の供給)にあると,数年後から数十年後に再びエトリンガイトが生成されてコンクリートが膨張し,ひび割れを生じます。フランスでは,すでに多くの報告事例があり,マスコンクリートなどの断面の大きい部材の場合のコンクリートの最高温度に対する規制があります。DEFによるひび割れは,アルカリシリカ反応に類似しているため,コンクリート表面での目視だけで判断することが難しく,また環境条件によってはアルカリシリカ反応とDEFが一緒に生じている事例も報告されています。国内では,コンクリート二次製品での劣化事例(蒸気養生によって極若材齢時に高温に晒されるため)の報告があるものの,現場施工された事例の報告はありません(もしかしたら,アルカリシリカ反応と判断されているのかもしれません)。以前にも書いたかもしれませんが,DEFに関してはフランスにおいて最も研究が進んでいることから,DEFの最新事情を知りたくて, IFSTTARにきました。

 17時前にIFSTTARを後にして,帰りに日常品(ハムなどを冷蔵庫の中で保存しておくためのジップロック,ハム,ソーセージ,インスタントコーヒー,もちろんバゲット)を購入し,近くの中華屋で総菜(炒め物と春巻きで6€もしたので,以後は買わないことにしました)を買っていきました。18時30分過ぎにアパルトメントに戻り,シャワーを浴びて,洗濯(2時間かかる)をしている間に夕食の準備と夕食を済ませました。夕食後は,やはりテレビ番組が観たかったので,有料のVPNに加入し,子供が加入しているAMAZON PRIMEで過去のテレビ番組(SPEC)を観てから,22時過ぎに寝ました。なんとなくですが,パリでの生活パターンができつつあるかなと思うようになりました。