法政大学コンクリート材料研究室

法政大学コンクリートの活動報告

工学実験1(オンライン授業)

 8月26日から始まった学部3年生を対象とした工学実験1ですが,今回のコロナ禍の影響で初めて対面ではなくオンラインによる講義となりました。以前,動画撮影の話を書きましたので,今回は実際に講義を行ってみての所感などを書くことにします。

 以前にも書いたように,工学実験1で実施する実験項目は5種類あります(配合設計,強度試験,骨材試験,鉄筋の引張試験,非破壊試験)。例年のように対面授業であれば,材料の準備は必要ですが,実際に実験はTA,学部生と受講生が行うので,講義が始まればちゃんと行っているか確認する程度で,後はレポートのチェックを行えばよいのですが,今年は先日書いたように,受講生たちが出してくる試験結果がないのでこちらで準備する必要がありました。学部生や院生に全部行ってもらうのは相当な負担となるので(5つの試験で全16項目を10班分),過去5年間のデータを平均したり,ある年度のデータをピックアップしたりして揃えました。さすがに骨材試験を10班分用意するのは大変だったので(特にふるい分けのデータは残っていないので,ある程度ランダムに作成する必要があり,そこまでの労力をかける時間がありませんでした),研究室で使用している骨材と委託研究で使用した骨材の2パターンのみとしました。もうひとつ大変だったのは,非破壊試験でテストハンマーの反発度のデータを用意することでした。生データはもちろん手元にないので,過去5年間のデータでの平均反発度,標準偏差がほぼ一致するようにこちらはランダムにデータをばらつかせてデータ作成をしました(これだけで半日以上かかりました。実際に50本学生に試験してもらった方が早かったかもしれません)。受講生には,平均値,標準偏差,変動係数の計算のやり方を覚えてもらいたかったので,かなり無理してデータ作成しました。受講生は,このように苦労してデータを揃えていることなど知らないでしょうが,授業の質を落とすわけにはいかないので,これくらいのことはやっておく必要があると思っています。今回,指導書もあらたに作成したのですが,まだまだ不完全なものなので,こちらはこれから少しずつブッシュアップしていこうと思っています。特に,私が担当している強度と非破壊は,試験方法自体はそこそこ書いているのですが,考察に必要な内容がかなり抜けているようなので(TAががんばって説明してくれていました),このあたりをもっと充実させていきたいと思っています。また,受講生は実験の流れがよくわかっておらず,それぞれの実験が独立しているように思っていたようなので,そこのところもわかるようにする必要があるようです。

 昨日で講義は終り,昨晩全部の班を統合したデータ(骨材だけはいろいろ集めてきたデータ)を配信して,受講生は1週間かけて最終レポート作成することになります。各レポートでの考察が不十分な学生が最終レポートでどんな考察を書いてくるのかが見物です。例年,各レポートで苦戦している学生は総じて最終レポートの出来も悪く,再履修しています。今年は,どんな最終レポートが出てくるのか今から楽しみです。