法政大学コンクリート材料研究室

法政大学コンクリートの活動報告

AI

 昨日は,現在当研究室で進めている機械学習による各種非破壊試験を用いた劣化診断について,茅ケ崎にある大型供試体の見学とミーティングを行いました。参加者は,当学科のY先生,仙台高専のS先生,大分高専のK先生(オンライン参加),東海大学のO先生(オンライン参加),開発設計コンサルタントのN氏(市ヶ谷での授業をお願いしている関係でオンライン参加),O女史,S氏,名古屋大学の大学院2年生のM君,私の研究室の社会人ドクターのS氏,大学院2年生のM女子,学部4年のS君と私の12人で,現場に実際に集まったのは7人と開発設計コンサルタントのO女史とS氏の9人であり,大分高専のK先生,東海大学のO先生,開発設計コンサルタントのN氏はZOOMでのオンライン参加となりました。

 13時30分に茅ケ崎の電源開発の茅ケ崎研究所に集合し,O女史とS氏の案内で,大型供試体が置いてある場所まで行き,O女史と私で大型供試体の実験内容について簡単に説明をしました。仙台高専のS先生は,興味津々の様子でいろいろ質問を受けました。また,学部4年生のS君に打音検査のデモンストレーションも行ってもらいました。電食させた部位と塩水に浸かっている部位での音がその他の部位の音との違いが比較的明瞭で,そのあたりが浮いているのではないかと思われることを説明しました。供試体内部に埋め込まれたひずみ計の値も500μくらい変化していることからも,ひび割れが生じていると考えられることも併せて説明しました。ひび割れ幅自体は非常に微細と思われるのですが,ひび割れ範囲が数十cm範囲であり,その部分のかぶりが板として作用することで,打音による音の違いが生じているのではないかと考えられることをY先生,ドクターのS氏から説明がありました。非常に興味深い状況になっているのですが,まだ他の実験が継続していること,もう少しひび割れを進行させたいというS氏からの意見もあり,コア採取や供試体の切断は年明けになりそうです。

 見学終了後会議室に集まり,オンライン参加の御三方にも加わっていただき,現在の研究の進捗状況を学部4年のS君,名古屋大学のM君に発表してもらい,各先生方から多くの質問や意見がありました。また,大分高専のK先生からVAE(Variational Autoencoder,ディープラーニングのモデルの一つ)に関する研究内容についての話題提供をしていただきました。今回のミーティングの内容を聞いていると,AI(Artificial Intelligence,人工知能)に関する研究は日進月歩でものすごいスピードで進んでいることを実感しました。一方,土木の分野,特に維持管理の分野では機械学習を取り入れた劣化診断技術はまだまだであり,逆に今研究成果が出せれば,出したもの勝ちのような状況にあると思いました。今行っているいくつかの研究をできるだけ早い段階で公知の事実にすることも大事ではないかとも思いました。ドクターのS氏には一日も早く論文をとりまとめてもらい,博士号を取得してもらうとともに,今回の研究成果を国内外の学会のジャーナル(査読付き論文)にも出してもらいたいと思っています。皆さん,今回のミーティングにとても満足されて,定期的に集まってディスカッションしましょうということになりました。やはり,違う分野の先生方との意見交換はすごく刺激的でまた新しい研究のアイデアが生まれてくる基になると実感しました。