法政大学コンクリート材料研究室

法政大学コンクリートの活動報告

卒業研究のデータ

 ある学会の委員会で以前学生が発表した学会の論文の元データの提供依頼があり,大学院生に探してもらいましたが,見つかりませんでした。毎年,卒業研究のデータについては,生データも含めて全て残しておくようにしているのですが,卒論審査が終わると何もしないでそのまま卒業してしまう学生が後を絶ちません。最近は,途中のデータも含めて外付けのハードディスクに格納させるようにしているのですが,そのハードディスクも管理が悪いのかこれまでに2回クラッシュしています。DVDに焼いたりもしているのですが,結構データが逸散してしまっていてわからなくなったものがあります。今回の依頼について,どうしたものかと思ったのですが,紙媒体ではこれまでのものが全て残っているので,学会発表に使用した卒業研究をひっぱり出してきて,元データとなった図面を見つけることができました。ただし,数値データになっていないので,これでは役に立たないかとあきらめかけたとき,大学院生がそれをスキャンすればデータ読み取りすることはできますよと言ってくれました。それならばとこの忙しい時期にデータの取出しのお願いをしました。そういえば,昔の論文などに載っているグラフからデータを取り出すのにトレーシングペーパーを図の上に張り付けて(その前に図の縮尺をできるだけ読み取りやすい倍率(例えば100kgf/cm2が1cmになるように)にコピーします),それを定規当てながら読み取ったことがありました。1つの図に時間と労力がかかるばかりでなく,シンボルを使用しているものですと,その重心位置から読み取るようにしましたが,重なっていたりすると判別できなくて,ちょっと怪しいデータになったりしました。しかしながら,知りたいデータを取り出せて,自分の実験や解析データと比較することができるので(大体XCELを使用して),苦労した甲斐があるというものです。

 卒論生たちにとっては,自分が卒業するための単なる一科目かもしれませんが,研究室にとっては継続している研究テーマの場合,取得したデータなどが翌年以降重要なデータや研究の方向性を大きく作用するものになるのです。会社であれば,単年度で担当者が代わるということはほとんどありませんし,大体複数人(上司など)で担当するので,データの逸散はあまりないと思います。一昔前であれば,データはデジタル化されておらず,紙媒体で記録されていたので,報告書などを作成すると廃棄されてしまいました(よほど物持ちの良い人であれば,残しているかもしれませんが,それこそ机の上が紙の山になってしまいます)。

 今は,データをデジタル保存できるので,生データも結構残るようになってはきていますが,整理の悪い学生(大体机の上が汚くて,片付けできない学生)のデータの場合,どこにどんなデータがあるのか全く分からず,結局使い物にならなかったというのが結構ありました。それも教育指導の一環なのかもしれませんが,小さい時からの生活習慣のような気が私はしています。片付けできない学生は,仕事もできない社会人に陥りやすいのではと思っています。仕事のできる人間になるためにも,今年の学生にはちゃんとデータ整理カーするように指導していきたいと思っています。