法政大学コンクリート材料研究室

法政大学コンクリートの活動報告

卒業研究

 今年度の卒業研究も大詰めに近づいてきました。今週の木曜日(29日),金曜日(28日)

の両日で卒論審査を行います。今年は,コロナ禍の影響で対面での審査を行わず,全てオンラインで行うことになりました。教員も含めて全てオンラインで行うので,どうなるのかわかりませんが,今年の学部生はあの対面での緊張感を味わうことができないのが残念でなりません。1年間の成果を教授陣の前で発表することは,凄い緊張感となるはずです。社会に出れば色々な場面でプレゼンテーションする機会が結構ありますので,その予行練習といえます。

 以前,私の研究室に非常に優秀な学生がいて,海外での英語の発表など堂々とこなしていたのですが,修論の発表において発表自体は完ぺきだったのですが,ある教授のたった一言の質問に答えられず(普段であれば,即答していたような簡単な内容でした),その後の質問に対する回答がしどろもどろとなり,普段と全く別人のようになっていました。セッション終了後,どうしたのかと聞いたら泣きながら○○教授に質問された瞬間頭の中が真っ白になってその後自分が何を話したのかもはっきり覚えていないといったのです。いつも沈着冷静な学生でも,緊張のあまりいわゆるパニック症候群のようになってしまうのかというのをこの時知りました。

 私もそういえば修士論文の内容をまとめて学会(日本コンクリート工学協会,現日本コンクリート工学会)に提出して,その内容を年次大会で発表した時,司会者からの質問内容が全くわからず(後で司会者のところに行って聞いたところ,とても簡単な質問でした),頭の中が真っ白になって上述した学生ではありませんが,何を自分で答えたのかさえ覚えていないくらいでした。上述した学生は,凄く真面目で何に対しても真剣に取り組む子であったので,以外とそういう子はパニックになりやすいのかもしれません(私は単に司会者の話している日本語が理解できなかっただけですが)。

 他方,普段はチャランポランでいい加減な学生が,審査の時にはビシッときめて教授陣から高評価をもらうのもいます。いわゆる本番に強いタイプというやつです。普段から,私から叱責されたり,やり直しさせられたりしているので,ちょっとの事では動じなくなっているのかもしれませんが,中には心臓に毛が生えているような図太い学生もいます。答えが全然間違っていても堂々と答えて,セッション終了後に何を頓珍漢な答えをしているのかと言っても,答えた内容間違っていましたかと全く平然とした顔をしているのです。ある意味大物になる素質があるかもしれないと思ったほどです。

 このようなやり取りは,対面でないと味わえないものです。ただ,画面に向かって話をするだけで,質問も画面越しで相手の雰囲気などは全く伝わってきません。まあ,これも新しい様式と言えるのかもしれませんが,何か釈然としないところもあります。現在,普通に研究室に通っているのに,審査だけはオンラインというのは卒業研究している彼らのモチベーションもなかなか上がらない気がしてなりません。決まったことなので仕方ないですが,これが本当にベストな選択だったのかあらためて考えたいと思います。