法政大学コンクリート材料研究室

法政大学コンクリートの活動報告

公聴会

 昨日は,論文博士のT社のM氏の公聴会でした。彼は,大学の研究室の後輩であり,委員会などでも一緒に参加していて,よく知っている人物です。現在は,T社のシンガポールにある関連会社に出向していて,シンガポール在住です。彼此4年経ちます。彼の上司であるT社のT氏から6~7年前になりますが,M氏の博士論文の指導をお願いしたいという依頼を受けました。彼の研究は,私の研究分野に近いこともあって快くお引き受けすることとしました。既に多くの研究成果を学会等にも発表していましたので,当初は課程博士で引き受けるつもりでしたが,その後シンガポールの会社への出向となり,2年ほどそのままとなっていました。一昨年にT氏にお会いして,あらためて論文博士としての指導をお願いできないかとの申し出がありましたので,一度本人が帰国した時に状況確認も含めて打合せしましょうということになりました。

 一昨年の12月にT氏とM氏が市ヶ谷の私の研究室に来られて,論文内容や研究業績などについての確認と今後の予定などについて打合せを行いました。まだ,新型コロナの影響もなく,年に何回か帰国した折に内容についてのディスカッションをしていきましょうということになりました。しかしながら,その後の新型コロナの急速な拡大を受けて,M氏自体もシンガポールで足止め状態となり,直接会って指導などができなくなりました。仕方なく,論文を少しずつ書き進めてもらって,その都度私の方に送ってもらい,内容についてのコメントや修正などをメールでやり取りすることにしました。それでもメールだけではこちらの意図が伝わらない場合には,オンラインでのビデオ打合せを何度か行いました。

 昨年の11月にようやくドラフトが完成し,論文博士の申請手続きを行い,12月の教授会での論文審査委員会において論文の申請が認められ,論文小委員会の設置が承認されました。小委員会では,主査の私の他三人の副査という構成で,外部からA大学のM教授にも副査として参加していただくことにしました。今年に入って数回小委員会を開催しましたが,非常事態宣言が発令されていた関係とM氏本人がシンガポールから帰国できないことから,全てオンラインでの開催となりました。少人数とはいえ,オンラインでの論文審査というのはどうもしっくりこないというか,なかなか議論がかみ合わないところも何度かありました。やはり,こういうものは対面で開催するのがよいとあらためて思いました。

 公聴会自体も当然オンラインとなり,審査対象のM氏も副査の三人の先生方,私も含めて皆自宅もしくは大学からの参加となりました。H大学のS名誉教授,N大学のN教授,M教授,I大学のH教授など産官学の各方面から42名参加いただけました。S名誉教授から厳しいご指摘もありましたが,概ね皆さんから高評価を受ける研究内容でした。当研究室からも社会人博士の方や大学院生,学部生も参加してくれました。相手の顔が見えない状況での質疑応答というのは,どうもやりにくいのですが,これからはこのようなオンラインによる審査が増えてくることになると思います。まだ,審査を受けていない私の研究室の他の博士課程の方々もこれを励みにして頑張ってもらいたいものです。