法政大学コンクリート材料研究室

法政大学コンクリートの活動報告

次年度の卒業研究テーマ

 昨日,毎月行っている院生ミーティングを行いました。2月は新旧の院生が入っての合同のミーティングを行っています。4月から社会人となる大学院2年生のMさんと大学院に進学するS君とT君が一緒に参加する最初で最後のミーティングとなります。ミーティング自体は,卒業研究の進捗状況の確認,学協会への投稿,発表の確認,受託研究の進捗状況,新規受託研究の追加,在庫確認(セメント,ひずみ計などのセンサー類)などを行っています。2月は学協会への投稿,発表の切り替え時期なのですが,このコロナ禍の影響で,海外投稿や発表が延期されたり,オンライン開催となってしまったりして,取りやめたものもいくつかありました。それでも,国内外で主だったところには投稿することを確認しました。学生にとっては,学会発表で地方に行けたり,海外に行けたりするのは魅力的ですし,モチベーションも上がると思うのですが,オンラインでは中々そうもいかず,こちらも積極的に進めることもできません。私の研究室では,修士の間に1回は海外発表するように言っていて,多くの学生が英語による論文作成及び海外での発表を経験しています(英語で書くこと,発表するのが嫌だといって出さない学生ももちろんいます)。なんとか今年の後半までに新型コロナがある程度収まってくれればよいのですが,海外渡航ができるようになるのは難しいと思うので,去年修士に上がった学生は海外発表できないまま修了してしまうことになります。それでも,修士1年のKさんは頑張って英語の論文作成をしています。すでにオンライン開催が決まっているにも関わらずです。せめて国内の学会発表位とも思っているのですが,日本コンクリート工学会の年次大会はすでにオンラインによる開催を表明しており,土木学会の年次大会もそのようになる可能性が高いようです。昨年,どこにも行けない状況だったので,ダムの現場に連れて行きましたが,今年もそういったことを考えたいと思っています。

 昨日のミーティングでは,後半に私から次年度の卒業研究のテーマ案を説明しました。物性関係は,今年度からの継続でTSTMを用いた鉄筋コンクリートのひび割れ進展評価とあらたに無拘束供試体に埋め込む鉄筋の径を変化させて,自己収縮ひずみの抽出と熱膨張係数の評価が可能かどうか検討してみようと考えています。また,これも今年度からの継続なのですが,鉄筋コンクリートのひび割れ発生時強度(温度ひび割れ指数)とひび割れ幅との関係について検討してみようと思っています。新規とは言えないのですが,温度依存性を考慮した力学特性の検討を次年度やるつもりでいます。また,今年度から始めたクリンカ細骨材を用いた諸検討の一環として,高炉スラグ高含有セメントと組み合わせた時のひび割れ抵抗性への影響について検討したいと思っています。一昨年から始めた乾燥収縮についても温度・湿度の変化が湿度変化,ひずみ変化に及ぼす影響についても検討する予定です。

 以前,温度ひび割れ指数算定のための簡易評価式を作成したことがあるのですが,推定精度が今一つだったので,精度向上を目指した簡易評価式の検討も考えています。耐久性関連は,いずれも今年度からの継続となり,電磁波と赤外線を用いたコンクリート内部欠陥の推定について検討を行っていくつもりです。どれもまだ頭の中でのイメージだけなので,新4年生にもわかるようにしようと思っています。