法政大学コンクリート材料研究室

法政大学コンクリートの活動報告

講演会の資料

 先週末から,某研究会の総会で研究成果の報告(講演)をしてもらいたいとの依頼を受けていたものの作成を行っていました。今回,報告(講演)依頼された内容は,もう何年越しとなっているのか忘れてしまいましたが,少なくとも4年以上前の実験と解析について,ずっと引きずっているものです。実験結果については,既に講演もしており,学会等にも投稿しているのですが,実験結果から得られた算定式を用いて実構造物などに適用可能かどうかの検証が中々進みませんでした。毎年,大学院生に解析をしてもらっているのですが,データを入力して結果を出すのでなく,ユーザーサブルーチンを少し書き換えるコーディングをしなければならず,いままでやってもらった学生には結構ハードルが高かったのかもしれません。今年度頼んだ大学院1年生のFさんは,比較的プログラムのコーディングなどが得意だったこともあって,ようやく同定解析の可能性が見えてきました。一応,実験結果と解析結果のひずみ挙動と応力挙動がほぼ一致する結果が得られました。ただし,同定させるために,実際のコンクリートの力学特性やクリープ特性と大きく乖離しているので,このあたりもう一度リーズナブルな説明ができるように,修正した各係数の見直しをしていく必要があります。それでもようやくどうしたら見直ししていったらよいかの足係りができたので,この成果は非常に大きいと思っています。今日は,セメント化学やコンクリートの日本で著名な先生方の前で説明しなければならないので,どんな質問が出てくるのか今から心配しています。

 今月は,このような研究成果の報告(講演)がいくつもあって,報告書を何本も書かなければなりません。以前は,自分で実験や解析をしていたので,報告書の作成自体はそれほど苦ではなかったのですが,今はほとんど学生に実験や解析をしてもらっているので,その結果を解読するのに結構時間を要しています。今回の解析結果についてもまず送ってもらったExcelシートの内容を理解するまでに丸1日かかりました。自分で頼んだ内容を思い出すのに半分くらいかかっているのも事実です。結果が見えてくると,今度はどうしてここを変更しているのだろうという疑問がでてきます。今回は,どういう風にしてもよいのでまずは実験結果と解析結果を合わせてもらったので,これはこれで凄いのですが,相手に説明するにはどうしてそこをそんな風に変更したのか説明できない状況です。コンクリートの場合,強度や変形特性,温度特性,その他の収縮特性が色々交互作用して複雑な挙動を示すので,一つどこかをいじれば,他のところが変化してしまって合わなくなってしまうという具合です。今回得られた結果は,コンクリートの常識からいったら?というところがいくつかあります。今後は,それを常識的な範囲にした時,他の要因に対してどのように影響するのかという感度解析をしていく必要がありそうです。またまだ道は長そうですが,やっと道の先に光が射してきたように思っています。本当は,Fさんにそのあたりも続けてしてほしかったのですが,事情があってこれ以上対応できなくなってしまいました。これを引き継いでくれるS君に頑張ってもらうしかないと思っています。彼は,なかなか優秀なのできっとこの辺りクリアしてれると思っています。